第6章 (1)
”オキロ、 ジョー、 オキルンダ”
このカタカナの呼びかけは・・・?
イワンだ!
イワンがボクに呼びかけているんだ!
でも・・・なぜ?
ジョーは疑問を感じながらも、とりあえず目を覚ました。
だが、辺りにイワンの姿は見当たらない。
ともかく、イワンがどこかからジョーの心に呼びかけていることだけは確かだ。
”なんだい?イワン?”
ジョーはイワンの呼びかけに答えた。
”ボクハ ユメノナカデ キミタチノ ヨウスヲ ミテイタ。
ジョー、 キミノ カンチガイハ ハナハダシイ。 ボクハ イテモタッテモイラレナクナッテ キミヲ オコシタンダ。
アンナニ ヒトリデ サワイデ・・。
ナゼ キミハ フランソワ ガ ニンシンシタト オモッタノダ?”
”なぜ?って。あの雑誌を見ただろ?
それに昨日の、今までに見たことも無いような怒りよう。
あれは絶対彼女も混乱していたんだよ。わかるだろ?
思ってもいない事態に直面して・・・”
イワンはちょっとあきれたような声をだして言った。
”ジョー、ニンゲン ソンナニ カンタンニ コドモハ デキナイヨ。マシテ キミタチハ サイボーグ ダ。
・・・イマハ ソンナコトヨリモ キミニ ミセナキャ ナラナイモノ ガ アル。
セツメイ スルヨリモ ウント セットクリョク ノ アルモノ。
ソウ シンジツダ!”
”なんだって!?”
すると、ジョーの目の前にフランソワの姿が現れた。
いや、現れたのではなかった。イワンが現在の彼女の様子をジョーに見せているの
だった。
”サア!ヨクミルンダ!!”
場所は病院の一室のようだった。
ベットにはお腹の大きな妊婦が、そのそばにはフランソワがつきそっている。
”これは・・?どういうことだ?イワン”
”マダ ワカラナイノカ?キミハ。
ジャア カノジョタチ ノ カイワ ヲ キイテミロ。
ソレッ!”
たちまちジョーの耳に彼女達の”話し声”が聞こえてきた。
「大丈夫よ、ジュン。マタニティーブルーは誰にでも起こりうることよ。誰だって出産前には不安になるわ。特にあなたは一人で頑張らなきゃならないんだし・・。」
「ありがとうフランソワ。ごめんね突然こんな遠いところに呼び寄せちゃって。頼れるひとがあなたしかいなかったのよ。だってあいつは妊娠中の私を捨てて、他の女と・・」
フランソワの友達”ジュン”は泣き出してしまった。
それをやさしくなだめるフランソワ。
「いいわ。ジュン。それ以上何も言わないで。あなたが辛いことはよくわかるわ。今は思いっきり泣いて。気が済むまで泣くのよ。そうじゃないと笑顔で赤ちゃんを迎えられないわ。」
「ううっ。フランソワ・・・」
ジョーの目にはフランソワが天使のようにうつっていた。
ああ、キミはなんてやさしいんだ・・・。
”コレデ ワカッタダロウ? ”
イワンの呼びかけと同時にフランソワの映像は消えた。
”カノジョガ アノ ザッシヲ ヨンデイタノハ ジュン ノ タメ。 ジュン ハ マエカラ フランソワニ ソウダンヲ モチカケテイタ。シュッサン ガ フアンデ ショウガナカッタンダ。ダカラ フランソワ ハ カノジョヲ スクイタイ ト オモッテ アノ ザッシ ヲヨンデイタ。ソシテ キノウ キンキュウノ レンラクヲ ウケテ ココカラ トテモ トオイ ビョウインニ ムカッタンダヨ。”
”そうだったのか・・。なんだか一人で勘違いして、勝手に大騒ぎして・・ボクなんだか恥ずかしいよ。張にもハインリヒにも迷惑かけちゃったよ。謝んなきゃ”
”ソノマエニ アヤマルヒトガ イルダロウ?キノウ オコッテ デテイッタ キミノ ダイジナ・・・”
ジョーは はっとした。
<フランソワ!!>
”・・・でも、イワン。ボクはどうして彼女が怒りながら病院に向かったのかがわか
らないよ。それってやっぱりボクが原因なの?”
”オコッテ イタノハ キミガ カノジョ ノ タンジョウビ ヲワスレテイタカラダ。オコッテ ヘヤカラ トビダシタ アト ジュン カラ フランソワノ ケイタイ ニ レンラク ガ ハイッテ デカケテ イッタンダヨ。
フランソワ ハ キミニ デカケルコトヲ ツゲテイッタノニ
ソノトキ キミハ・・・・”
”ああ、言わないでくれ!グレートの話に夢中になっていて気づかなかったんだよ。
だってゼロゼロサザエが面白くて・・”
”ホントニ ジョウガナイナ。”
イワンはため息をついた。
ジョーは自己嫌悪に陥った。
誕生日を忘れる男なんて最悪だよな・・・。
フランソワに何て言って謝ろう・・。
”ジョー キミハ オチツキガ ナサスギル。アノ レイセイサ ハ ドコヘ イッタンダ?ボクハキミヲ リーダー トシテ ミテイクコトニフアンヲ カンジタヨ。マッタク!!モウッ!!”
ジョーはますます自己嫌悪に陥った。
”・・・・マア、キミモ コレデ ジュウブン ハンセイ シタダロウ?
フランソワ ト キミノ ナカガ アッカ シテシマウノハ ボクニ トッテモ フツゴウダ。
ナカマ ガ バラバラニ ナッテシマウ オソレガ アル。
イマカラキミヲ フランソワ ノ モトニ テレポート サセル。デモ チョット ソノマエニ・・・。”
そういうとイワンはロシアの宝石店から高そうな指輪をテレポートさせた。
そしてそれをジョーの手に移した。
驚くジョー。
”イワン・・これは・・”
”イイカラ。コレヲモッテ カノジョノ トコロヘ イクンダ。サア ハヤク! ジュンビハ イイカイ”
”ありがとう!イワン”
ジョーはイワンにとても感謝した。
と、同時に”これって泥棒じゃ・・・”という思いもした。
でも気にしないことにした。
(待っててくれ!フランソワ!)