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魚河岸の棒手振りだそうだよ、最初にそれを見たのは。新山河岸で仕入れた活きのいい秋刀魚が体のいい具合にさばけたってんで、降り出した雨の中鼻歌混じりに棒をかついでたらしい。そうしたら見ちまったってわけさ、黒い雨が降り注ぐ光景をな。黒い雨を知らない? そうかい、まあ、無理もねえさ、お伽噺の又従兄弟みてえなもんだからな。人を狂わせる邪気を含むってんで、瘴雨(しょうう)なんてけったいな名前で呼ぶ奴もいる。ん? ああ、いや、それは誰にもわからねえ。どこにでも降る、なんて言われてるみてえだがな。そう、決まってねえのさ。ある日突然、どこともしれぬ一つ辻に降り込めるんだと。そこだけ、闇に包まれたみてえに、真っ暗になるんだと。おっとろしい話だねえ。そうそう、瘴雨に関しちゃ、もう一つ言い伝えがあるんだ。瘴雨を浴びた奴だがな、話によるとどうも、狂うだけじゃないらしいんだ。
時を置かずに死んじまうらしい。 瘴雨が辻 |
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