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00/11/11 『夕焼けの赫』をめぐって



03/08/15(金) PROGJECT GUTENBERG   by さと


 PROGJECT GUTENBERG http://promo.net/pg/

 著作権の切れた作品をテキストで掲載しているサイト。青空文庫の海外版といえばわかりやすいでしょうか。英語ですが、著名な作家の未邦訳作品や、邦訳されたものの入手難になっている作品なども多く見られ、利用価値は高そうです。

 以下個人的に興味を持った著者・作品。

 Dunsany, Edward John Moreton Drax Plunkett, Baron, 1878-1957
 ロード・ダンセイニ。『ペガーナの神々』はありませんが、「Fifty-One Tales(邦題:五十一話集)」など5作品が掲載されています。「Tales of War」は未邦訳かも。
 MacDonald, George, 1824-1905
 ジョージ・マクドナルド。未邦訳らしきものもちらちらと。児童向けの作品が多い人のためか、「At The Back Of The North Wind(邦題:北風のうしろの国)」あたりに目を通してみると、平易な文章が多く意外といけそう。
 Poe, Edgar Allan, 1809-1849
 エドガー・アラン・ポオ。米文学の大家にして、探偵小説の生みの親。ためしに「Murders In The Rue Morgue, The(邦題:モルグ街の殺人)」の序盤に目を通してみましたが、難解な語句が多くてもうお手上げ。本棚から全集を引っ張ってきて原文と邦訳とを見比べ、いかに訳者泣かせの文章であるか、その一端を理解。
 Doyle, Arthur Conan, Sir, 1859-1930
 アーサー・コナン・ドイル。かのシャーロック・ホームズの生みの親、もとい、世界に散らばるシャーロッキアンたちの生みの親。さすがに人気があり、53作品も掲載されている。
 Christie, Agatha, 1891-1976
 アガサ・クリスティ。2作品。というか、著作権大丈夫なんだろうか。
 Hogg, James, 1770-1835 , Private Memoirs and Confessions of A Justified Sinner, The
 ジェイムズ・ホッグ。掲載されているの作品は邦題『悪の誘惑』。
 Machen, Arthur, 1863-1947 , Great God Pan, The
 アーサー・マッケン。怪奇小説の大家。掲載されている作品は邦題「パンの大神」。
 Lewis, M. G. (Matthew Gregory), 1775-1818 , Monk, a romance, The
 マシュー・グレゴリー・ルイス。掲載されている作品は邦題『マンク』。
 Maturin, Charles Robert , 1780-1824 , Melmoth The Wanderer: a tale
 チャールズ・ロバート・マチューリン。掲載されている作品は邦題『放浪者メルモス』。

 ほかにもジャック・フットレルやアレイスター・クロウリーなどを検索してみたのですがありませんでした。「思考機械」の未邦訳が読めるかもとか思ったんですが……う〜ん、残念。



 小説を書いていると時々、世界中のあらゆる言葉(現象&事物含む)の『起源辞典』とでもいうべきものが欲しくなる。百科事典が求める情報を与えてくれることもあるが、役不足に終わることのほうがずっと多い。カレル・チャペックの「ロボット(robot)」のエピソードのいかに幸運な例であることか。今はなき現代教養文庫から確か『東洋語源辞典』なんてタイトルの本が出ていたが、あれの超特大バージョンでも出れば一万円を超えても買うのになあ。

 いま自分がぶつかっているのは「世界輪(Rotae Mundi)」という言葉(&概念)の素地が薔薇十字以前にもあったかどうかという問題。占星術の中にそのその前身がありそうな気がするのだが。

 調べていく過程でいくつか面白いサイトを発見。

 Barbaroi! http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/
 ストア派断片試訳集 http://www.logos.tsukuba.ac.jp/%7Eshin1/stoa/stoa.html

 古代ギリシャの文献の個人による邦訳がたくさん。おそらく未邦訳文献(先の言葉と矛盾するが、意味はわかってもらえると思う)もたくさん。専攻している学生が泣いて喜びそう。インターネットのもっとも有用な利用形態の一つがここに。



 とあるプロの作品のはじまりの文章。

 「第一発見者は、よりによって山の中で迷子になっていた遭難者からのものだった。」

 合ってない合ってない主語と述語が合ってない辛い辛い見てて辛い。

 主語を「第一報は」とするか、述語を「遭難者だった」とするのが適当かと。

 この作品、確か最初は雑誌に掲載されたはずで、著者と編集者が雑誌掲載時と単行本発売時にそれぞれチェックしたはずで、単純計算で最低四回、校閲なども考えれば十回近く修正する機会があったはずで、にもかかわらず結局気づかなかったということになるわけで、はじまりの文章だから普通に考えれば最も気づきやすい場所なわけで──こりゃプロの名が泣くってもんです。

 ……………………まさか素でおかしくないとか思ったわけじゃないだろうな……。



03/07/31(木) イタロ・カルヴィーノ三作復刊!   by さと


 カカカカルヴィーノ!

 河出書房新社の海外モダン・クラシックスからイタロ・カルヴィーノの『見えない都市』『柔かい月』『宿命の交わる城』が一挙復刊! 『冬の夜ひとりの旅人が』を読んで痺れて以来ずっと『柔かい月』を探してきた私にとっては涙ものです。当然買います。ええ買わせていただきますとも。ほかにもユイスマンス著/澁澤龍彦訳『さかしま』、ブローティガン『西瓜糖の日々』など気になる作品が目白押し。もう月々の本代をすべてこの叢書につぎ込んでもいいと思わせるくらい魅力的なラインナップです。河出書房新社を私的良い出版社ランキングで第二位にしてしまうぐらいの勢いです。ああもうああもう(錯乱気味)。なにはともあれ、河出書房新社最高! この企画を立ち上げた編集さんと認可した編集長さんに万歳三唱。いやほんとに。

 ちなみに私的出版社第一位は当然ながら国書刊行会です、はい。他人事ながら本当に利益が出ているのか心配なあのラインナップは凄すぎます。



 ネットの書評で面白いと聞き、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』をネット書店に注文。しかし返ってきた答は版元品切れ。慌ててネット書店をハシゴし、在庫のあるところに注文。無事購入。しかし2000年発行の本が実質上絶版扱いって……。本の流通サイクルはどこまで病んでいってしまうのでしょーか。どうも経験上、漫画や売れている本以外は3年で市場から消えていくのが現状のようです。みなさんも欲しい本などあったらお金をケチらず購入できるうちに買っておくのがいいかと。



 秋山瑞人『イリヤの空 UFOの夏』……文庫発売を前に、電撃hpにて読了。完結したわけですが……う〜ん、個人的にはどうにも中途半端な印象を拭えない。喉に引っかかった魚の骨のように、細かいいろいろなことが違和感として心に引っかかっている。水前寺はどうなった? 椎名真由美は? UFOの正体は結局なんだったの? スカンクの正体はあの一言で終わり? そもそもパイロットが伊里野の世代以降育っていないってのが不自然じゃないか? そんなの気にしてたら娯楽作品を楽しめないよ、と囁く自分がいる一方で、いやいや娯楽作品だからってなんでもかんでも「ま、そーゆーもんか」で片づけちゃいかんでしょ、と頑なな自分がいる。まあ、文庫版でエピローグが追加されるらしいので、そちらを読んでから改めて判断することに。



03/07/17(木) たとえばこんなミステリィ   by さと


 突然ですが問題です。

 『マトリックス・リローデッド』を初日(たぶん6/8)に観て、それどころか二回目(たしか6月中旬)も観て、公開前からずっとこれをネタにしてHPを更新しようともくろんでいたにもかかわらず、今日まで更新されなかったのは何故でしょう。

 解答はいちばん下に。



 というわけで、(とっくの昔に)観てきました『マトリックス・リローデッド』

 まあ言いたいことは数あれど、まずは一言。

 これをスクリーンで観ない奴は今後アクションを語るべからず。

 アクションシーンはとにかく観ていて気持ちよかったです。スミスの百人切りは大笑いできるし、高速道路のトリニティとモーフィアスの逃走は非常に興奮しました。ツインズの一人が後部座席に乗り移ってきて、狭い車内で三人入り乱れてちまちまとした戦闘が繰り広げられるところなど、きゃーきゃーと黄色い歓声を上げてしまいそうでしたし、その上エージェントまで参戦してきたときには「ブラァボー!!」と両手を叩いてしまいそうでしたし、それからそれからもうとにかく最高──アクションシーンは。

 ストーリーは……どう見てもこれはぼろぼろのような気が、う〜ん……ラストシーンから下手をすると○○○○の可能性も出てきましたし……同情の光を瞳に浮かべつつ脚本家さんの肩を叩きたい気分とでもいいましょうか……まあとにかく次回作でまとめられるよう頑張ってみてください(他人事)。

 あ、ちなみに、余裕のある人はスミス百人切りのシーンで前面ではなく後ろのほうに注意してみましょう。後ろのスミスたちがこちらに近づいてくるところでさりげなくネクタイを直していたりして、より爆笑できること請け合いです。

 次に何を観ようか迷い中です。いよいよ公開された『ターミネーター3』かずっと曲が気になっている『8マイル』かどんな話にしてきたのか脚本が気になる『バトルロワイアル2』か友人が「観たい観たい」とうるさい『踊る大捜査線2』か。う〜ん、迷う。



 なぜ朝日新聞社を辞めたのか?

 最初に断っておきますが、無断リンクです。サイト内にリンクに関する記述を見つけられませんでしたが、「週刊現代」に掲載された記事についての文章から問題はないだろうと判断しました。

 フリーランスの「もの書き」である烏賀陽弘道さんが自分の退職に関して書き綴ったエッセイorコラム。コラム色の強いエッセイか、エッセイの皮を被ったコラムか、判断に苦しむところ。どうでもいいことですが。単純に「読み物」ぐらいに呼べばいいのかもしれません。

 社員をスポイルする朝日新聞社の体質に関する記述は、そのまま日本の多くの企業にあてはまるのではなかろうか、などと反射的に考えたり、これは企業の体質というよりは日本の体質の問題ではなかろうか、などと直感的に思ったり。時折読み返して、自戒したり、自分の平衡感覚を計るための試金石にしたいところです。

 いろいろと小難しいことを書きましたが、単純に「読み物」として面白いです。老いも若きも男も女も、共感させられる部分があるのではないでしょうか。



 読んだ本の感想を日記風につけていたりするのですが、最近それが滞りがちです。いかんです、いかんのですよ。代替としてここにちょろちょろと。

 芥川竜之介「歯車」……この人が自殺せざるを得なかった理由のすべてがここから感じ取れる気がします。どこまでも繊細で、どこまでも後ろ向きで、どこまでも夢想的で、どこまでも混沌としていて、だからこそ儚く美しい。ご冥福をお祈りします。一方で、「半透明の歯車」という言葉はネタになるなと思ったり。ああ、我のどこまで不謹慎なることか。すみません、芥川さん(「先生」と呼ばれるのを殊の外嫌っていたようなので)。

 本多孝好『MOMENT』……相変わらずの端正な、かつ丹精の、かつスタイリッシュな文章。ちょっと形容がかぶっているかもしれませんが、それぐらいイイのです、イイのですよ、文章が。井上靖さん風の淡々と言葉を積み重ねて塔=作品を建築するが如き文章も好きなのですが、このような文章も実にいいです。おそらく村上春樹さんの影響を受けているのでしょうが、そのエッセンスをうまく取り込みつつ、個性を出すことにも成功しているように感じます。「FACE」「WISH」「FIREFLY」「MOMENT」の四編のうち、お気に入りは「WISH」と「MOMENT」の二編。「WISH」の少女とのやりとりはニヤリとさせられます。「MOMENT」の犯人との言葉による対決や、患者を説得する際の主人公のどこまでも自己中心的な論理は、だからこそ逆に共感させられます。というか、「自分がそうしたいからそうする」というのは私の大好きな考え方です。蛇足ながら、相手が無茶なことを言ってきて、それに反対しても、「俺or私がそうしたいからそうする」と言われると、ついつい笑って許してしまう傾向が私にはあったり。なんか良い意味で自覚的な我侭って好きです。覚悟の垣間見える我侭というか。



 解答……6月上旬には書き終えるつもりだった20枚ぐらいの短編が書き上がらず、短編が書き上がるまで更新するまいと意地になっていたから。80枚を越えたところで意地を張るのをやめて少しだけ大人になる。



03/06/03(火) 祝・佐藤亜紀『戦争の法』復刊決定   by さと


 幹事を務めていた飲み会が二つとも終了し、やれやれと肩の荷を下ろしている今日この頃です。

 ところで、当HPが間借りしているトクトクのレンタルサーバーの仕組みが変わりまして、別枠で広告が表示されるようになりました。つまるところ、ページに広告を埋め込まれ、ブラウザに広告が表示され、さらに別枠で広告が開かれる、と。

 もう最悪。

 所詮は下宿人の悲しさ。抵抗できるわけもなく。ほかのレンタルサーバーを探すという選択肢も、リンクを張っていただいている各サイト様のことを考えると、また、結局は同じ運命に辿り着くのではないかという危惧を鑑みると、どうにも効率的ではなく。

 でも別枠だけは避けたかった。自分が嫌なだけに。うん。



 祝・佐藤亜紀『戦争の法』復刊決定。

 新潮文庫版を所持しているんですが、名作の復刊は単純に嬉しいものです。

 佐藤亜紀さんの『鏡の影』および『戦争の法』の絶版に関しては、特に作家志望の方なんかは事情を知っておいて損はないかと。一方の主張のみですが、御本人がおっしゃっているんだから疑う余地はないでしょう。光射すところ影あり。ダース・ベイダーも生まれようというものです。



 ロード・ダンセイニ「二壜のソース」(江戸川乱歩編『世界短編傑作集3』創元推理文庫収録)を読了。

 怖。

 結末は見えているにもかかわらず、最後まで謎が残り、それが最後の一行で頭の中にじわじわと理解が広がる。『ペガーナの神々』の精緻さが印象に残るダンセイニ。ミステリもいけるとは。

 ところで、個人的恐怖短編ベストはエドガー・アラン・ポオ「黒猫」。小学生のときに読んだので、しばらくは壁に近寄るのも怖かったものです。各種アンソロジーでは「盗まれた手紙」や「モルグ街の殺人」、また「黄金虫」などがよく選ばれていますが、個人的にはポオといえば「黒猫」。ほかには、上田秋成「吉備津の釜」、ブルース・スターリング「巣」、坂口安吾「桜の森の満開の下」あたりは、いつ読んでも背筋が寒くなります。



 管理人、副管理人ともども、現在短編を執筆中です。どちらも連作短編もの。しかし、伝奇物とか書いていると、むやみに現代物が書きたくなります。



03/04/18(金) 祝ジーコ・ジャパン初勝利   by さと


 私はJリーグ発足以来の鹿島アントラーズファンなので、ジーコに関しては盲目的に崇拝。ごっつぁんゴールだろうが勝ちは勝ち。このまま突っ走れ日本代表。



 先の日曜日、友人の結婚式に参加してきました。ヨットハウスで挙式兼披露宴、バンドを組んでるだけあって新郎新婦も参加してのライブ演奏(一部下ネタあり)、クルーザーでレインボーブリッジの下をクルージング、最後は桟橋近くで花火まで上がる始末。

 すごすぎます。いろんな意味で。

 新郎の父上から九州の珍しい焼酎をごちそうになったりと、お祝いするどころか、こちらが楽しませていただきました。末永くお幸せに。



 連城三紀彦「桔梗の宿」(『戻り川心中』講談社文庫版収録)を読了。

 ホワイダニズムの極致。現実と幻想の境界線にぎりぎりで踏みとどまっているというこの感覚。表現力も素晴らしく、さんざん評判を聞いていながら今まで未読だった自分を極刑に処す所存です。



 平成十六年四月一日から消費税の総額表示が義務づけられるそうですが、それにともない出版業界の「今そこにある危機」。『鷹と杉』のこあとるさんの編集日記でリンク先を知りました。私もおよばずながら広報支援を。



 おすすめ本思い返し作業。ア行&カ行に数名追加。現在サ行の作家さんたちまで。

 ……綾辻行人/我孫子武丸/有栖川有栖/浅田次郎/赤川次郎/天沢退二郎/芥川龍之介/秋山瑞人/ブラウリオ・アレナス
 ……井上靖/井上夢人/岩本隆雄/泉鏡花
 ……ジュール・ヴェルヌ/H・G・ウェルズ/ジーン・ウルフ
 ……江戸川乱歩/ミヒャエル・エンデ/ウンベルト・エーコ/スティーブ・エリクソン
 ……岡嶋二人/小野不由美/恩田陸/乙一/岡本綺堂/岡田淳/バロネス・オルツィ/ティム・オブライエン/ポール・オースター

 ……上遠野浩平/神林長平/梶尾真治/加納朋子/鏡明/ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)/イタロ・カルヴィーノ/オースン・スコット・カード
 ……北村薫/貴志祐介/京極夏彦/菊地秀行/銀林みのる/スティーブン・キング/ダニエル・キイス
 ……栗本薫/倉知淳/エラリー・クイーン/アガサ・クリスティ/ジョン・クロウリー/エドマンド・クリスピン/ケン・グリムウッド/アーシュラ・K・ル=グウィン
 ……ゲルハルト・ケップフ
 ……該当なし

 ……酒見賢一/佐藤亜紀/坂口安吾/斎藤惇
 ……澁澤龍彦/島田荘司/塩野七生/椎名誠/司馬遼太郎/真保裕一/ロバート・シルヴァーバーグ
 ……鈴木光司/菅浩江/ブルース・スターリング
 ……ロジャー・ゼラズニイ
 ……該当なし



03/03/18(火) パソコン諸事情   by さと


 ここ二週間ほどで当家のパソコンに起こったこと。

 1)何故か私用メールアドレスに送られてきた明らかにウイルスと思われるメールを削除しようとしたところ、誤って「Enter」を押してしまい、ばっちりパソコンがフリーズする。
 2)アンチウイルスソフトの情報を最新にしてウイルスを隔離。これで一安心とADSLを導入する。
 3)通信速度の速さに驚きつつブラウザをバージョンアップしたところ、頼んでもいないメーラーまで一緒にバージョンアップされ、これまでのメールデータを消失する。

 見事なまでの三段落ち。

 メールデータの消失は最初はウイルスのせいかとも考えていたのですが、ほかに同じような経験をした友人がいて、単純にそういう仕様なのだと知りました。

 マイ○ロソフト大嫌い。

 真面目な話、ここを見ているみなさんで、もし私から添付ファイルのメールが届いたりしたら、速攻で削除してください。そういったメールを送るときは事前にお知らせするようにしますんで、予告なしの添付ファイルは即ウイルスと判断していただいて結構です。もうウイルスの駆除は完了しているので大丈夫かとは思いますが、現在の電子技術は素人の知識では想像のつかないレベルにまで発達していると思うので。



 おすすめ本思い返し作業。とりあえずア行の作家さんたちを思い浮かべてみる。

 ……綾辻行人/我孫子武丸/有栖川有栖/浅田次郎/赤川次郎/天沢退二郎/芥川龍之介/秋山瑞人/ブラウリオ・アレナス
 ……井上靖/井上夢人/岩本隆雄/泉鏡花
 ……ジュール・ヴェルヌ/H・G・ウェルズ/ジーン・ウルフ
 ……江戸川乱歩/ミヒャエル・エンデ/ウンベルト・エーコ
 ……岡嶋二人/小野不由美/恩田陸/乙一/岡本綺堂/岡田淳/バロネス・オルツィ/ティム・オブライエン/ポール・オースター

 意外と思い浮かばないので、カ行まで進めてみる。

 ……上遠野浩平/神林長平/梶尾真治/加納朋子/鏡明/ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)/イタロ・カルヴィーノ/オーソン・スコット・カード
 ……北村薫/貴志祐介/京極夏彦/菊地秀行/スティーブン・キング
 ……栗本薫/倉知淳/エラリー・クイーン/アガサ・クリスティ/ジョン・クロウリー
 ……ゲルハルト・ケップフ
 ……該当なし

 結構思い浮かばない。読んだことはあるけどあまり面白いとは感じなかった、という例もあるので、しょうがないところでしょうか。ア行で言えば、井伏鱒二や遠藤周作あたりがこれにあたります。どうにも面白さがわからないもので。純文学の面白さが理解できるようになるのは、まだまだ先のようです。

 今日はカ行までのリストを作って終了。



03/02/25(水) 「他人事」考   by さと


 現在インターネット向けの古本屋さんでアルバイトをしているのですが、そこでちょこちょことサイン本を見かけるのに驚いていたりします。個人にとっての本の価値が刻々と変わっていくというのは、頭では理解できるのですが、かってこの本の持ち主はわざわざどこかに出かけて作家さんからサインを貰ったのだろう、そのときはきっと感動していたのだろう、なんて想像を巡らすと、他人事(*1)ながらなかなかに悲しい気持ちに。ああでも、もしも私が中学の時に赤川次郎さんのサインを貰っていたとしても、きっととっくの昔に売り払っていたことでしょうから、あまり偉そうなことは言えません。『マリオネットの罠』とか『三毛猫ホームズの推理』とか『ふたり』とか初期作品は今でも好きなんですが。あ、あと、映画『仮面学園』の原作も結構好きでした。タイトルど忘れ(*2)しましたが。

 それと謹呈本(という言い方でいいんでしょうか。著者が知人に送る本のことです)もよく見かけます。人間関係の難しさというものの一端がここに凝縮されています。送らないわけにもいかない、受け取らないわけにもいかない、というどちらにとっても不幸な場合が多々あるんでしょうねえ……。



 *1「他人事」……本来の読み方は「ひとごと」だと思うんですが、最近では「たにんごと」と使う人も増えてきているような。これを書いていて気になったので、手元にある昭和55年発行の『広辞苑第二版補訂版』で調べてみました。まず「たにんごと」で引いてみましたが、掲載されていませんでした。「たにん」の項にも「─ごと」という派生はありません。「ひとごと」で引いてみると、これはもちろん掲載されていましたが、使われていた漢字は「人事」で、「他人事」の漢字表記はありませんでした。ちなみに私のパソコンのワープロでは「たにんごと」と打ち込むと「他人事」「他人ごと」の二つの候補が基礎登録されています。「ひとごと」だと「人事」「人ごと」「他人事」の三つの候補があり、「他人ごと」は候補にありませんでした。こうして見てみると、おそらく読み方を知らない人の誤読から生まれたであろう「たにんごと」という読み方が、少しずつ人々の間に浸透し、ついにはワープロ辞書に登録されるほど市民権を得たという事実が浮き上がってきます。ふとした思いつきで軽く調べてみただけなのですが、言葉の変遷が実感できて面白いです。

 さて、整理がてら、「ひとごと」という読みから「たにんごと」という読みが生まれるまでの流れを軽く推測してみます。まず上に挙げた『広辞苑第二版補訂版』の記載から、昭和50年代前半は、まだ「ひとごと──人事」という「読み──漢字」の関係が主流であったと思われます。ですがそのうち「ひとごと──他人事」という新たな関係が生まれたのでしょう。その理由は「人事」という表記よりも「他人事」という表記のほうが、より言葉の持つ意味&雰囲気&ニュアンスに合っているからか、あるいは「人事」という表記だと「ひとごと」「じんじ」という二つの読みを混同しやすいからかだと思います。やがて「他人事」という表記が一般に使われだすようになり、正確な読み方を知らない人々が「たにんごと」と読み始めるようになります。最初の内は「たにんごと」ではなく「ひとごと」だという指摘&修正も多く為されたと思いますが、やがて加速度的に増加した「たにんごと」と読む人々たちのために、曖昧な知識しかなかった人々が「たにんごと」という呼び方を受容するようになります。やがて「たにんごと」という読み方が一般の場で頻繁に使われるようになり、正誤の判断が曖昧になります。そして現在ではワープロ辞書に登録されるほどに市民権を得ることになります──とこういう流れではないでしょうか。五分ぐらいでこの推測を書きました。あくまで推測ですので、裏付けはありません。ご注意を。



 *2「タイトルど忘れ」……古本屋というアルバイト先のせいか、小説や漫画に興味を持っている人がスタッフに多く、よく面白い小説&漫画の話をします。ですがこれまでに読んできた小説&漫画が結構な量になっているせいか、咄嗟におすすめ本のタイトルが浮かんできません。この場のネタがてら、適当に思い返して見ようかと思います。小説は数が多すぎるので漫画から。

 岩明均『寄生獣』講談社……我が心の漫画。かなりの間不動の一位。バトルあり哲学ありでかなりツボでした。主人公が強くなりはじめたあたりからの展開は燃えます。母親との再会は泣けます。9巻で明らかにされるタイトルの意味は当時は衝撃的でした。いちばん強く記憶に残っている漫画。最近完全版が出始めているので、揃えようかどうか迷っています。

 井上雄彦『スラムダンク』集英社……我が心のスポーツ漫画。キャラクター一人一人の個性がよく出ているあたりがすごいと思います。キャラクターの書き込みはやっぱり重要です。第一部完ということだったけど、やっぱりあれで終了でしょうね。ちなみにお気に入りはMVPシューター三井。

 三浦健太郎『ベルセルク』白泉社……現在連載中の漫画の中でいちばん好きな漫画。鷹の団編ではまった口です。バトルあり人間関係のぐちゃぐちゃどろどろありでかなりツボです。完結したときに上の『寄生獣』を越えてくれるかもと期待しています。ただゴッドハンド全員を描き込むことは無理だろうなとは思いますが。

 幸村誠『プラネテス』講談社……このあたりからマイナーどころになってくるのでしょうか。現在連載中の漫画の中でにばんめに好きな漫画。宇宙で仕事をする人々のお話。一つ一つの話が丁寧で印象に残ります。宇宙に興味を持つこと請け合いです。この漫画の存在を教えてくれた友人に感謝。余談ですが、基本的に私は自分で漫画を発掘するタイプではないので、次々に面白い漫画を教えてくれる&貸してくれるこの友人は大変ありがたい存在です。お返しにライトノベルを貸したところ、今では自分で買うほどにはまってくれました。ミステリやファンタジーも読ませたかったのですが、イラスト付きでないと読む気にならないと拒否されてしまいました。可愛い女の子のイラストさえあれば「面白い」という、小説に関しては非常にあてにならない意見を持つ奴です。

 藤子不二雄『藤子不二雄 SF全短篇』中央公論社……藤子・F・不二雄さんのSF短篇集。全三巻でおよそ百話収録。Fと言えば思い浮かぶのは『ドラえもん』ですが、大人向け(?)の短篇漫画のほうが個人的には好きです。お気に入りは「流血鬼」「カンビュセスの籤」「コロリころげた木の根っ子」「ポストの中の明日」「宇宙人」「ひとりぼっちの宇宙戦争」「宇宙船製造法」「山寺グラフィティ」といったあたり。余談ですが、これ、一巻と二巻は「藤子不二雄」名義で、三巻が「藤子不二雄F」名義になっています。その後さらに「藤子・F・不二雄」に改名されたわけで、その意味ではちょっと珍しい本かもしれません。さらに余談ですが、「全短篇」とタイトルにつけておきながら、まだ未収録のものがあったようで、現在はそれら未収録のものを合わせた「SF短篇集完全版」が小学館あたりから全八巻ぐらいで出ています。でも全巻集めようとすると一万円を越えます。全三巻バージョンが四千円弱で買えたことを考えると、ちょっと物価上昇がすぎるかと。おそらくお金を持っている大人がターゲットなんでしょうけど……うーむ。業界不振の悪循環がこんなところにも現れているのか。

 出渕裕『機神幻想ルーンマスカー』富士見書房……昔々のそのまた昔、『ドラゴンマガジン』という雑誌で連載されていた漫画。著者の出渕裕さんはイラストレーターやメカニックデザイナーとして有名(?)な方。中世ファンタジー的世界観ををベースに、各王国で守護神として崇められているルーンマスカー、ルーンマスカーを模して造られた巨大人型兵器ナイトマスカー、空を飛ぶ戦船、角付きの亜人、などなど、さまざまな要素を詰め込んだ世界設定が絵柄とマッチしていて非常に魅力的でした。ですが人気がなかったのか、出渕さんが煮詰まってしまったのか、単行本は一巻が出たところでストップし、雑誌連載は第二章終了時でストップし、第三章の設定の情報などが出たあと完全な沈黙状態に入ってしまいました。つづきは絶対に無理だと思いますが、まだあきらめきれないなあ。ちなみに私は雑誌連載終了後に入った口で、できるだけ雑誌連載分をコピーしたのですが、まだ何話分か持っていない分があります。残る手段は国会図書館か……。

 ほかにもいろいろありますが、とりあえずこんなところで。次は小説にいこうかと思います。



03/02/19(水) 映画『黄泉がえり』   by さと


 三週間限定公開ということで話題の映画『黄泉がえり』を観ました。原作は梶尾真治さん。『おもいでエマノン』などを書いている方です。

 主演はSMAPの草[なぎ]剛と竹内結子。ある一帯で死者たちが蘇り、厚生労働省の草[なぎ]剛がその原因を調べていくというお話。そこに友人の竹内結子やその亡くなってしまった恋人などが絡み、「甦り」の真相が明かされていきます。スクリーンゆえの臨場感もあってか、なかなかに楽しめました。梶尾さんの小説によく見られる「なんでそうなったのかはとりあえず置いといて事件に巻き込まれた人々のドラマを描く」(ほめ言葉です)という手法に忠実に乗っ取ったつくりでした。いくつかミステリ的な仕掛けもあるのも個人的にはグー。柴崎コウの歌がうまいのもまたグー。気になった点は、草[なぎ]剛の中途半端な笑い方と長髪。薄ら笑いというイメージが強くて、竹内結子と仲がいいという設定に違和感。風になびく長髪もうっとおしい。私がひねくれているだけかも。

 ついでに予告編で貴志祐介さんの『青の炎』が映画化されると知って驚愕。あのはかなくもどこかふてぶてしさを感じさせる主人公を、映画という媒体でどこまで表現できるのかが不安。安易にせつなく可哀想なだけのキャラクターにはしないでほしいところですが、はてさてどうなることやら。でもなんだかんだいって観てしまいそうです。



 今だからできる話など。以前使用していたジオシティーのメールアドレスが規約変更により使用不可になって以来、私はサイト用のメールアドレスを持ちませんでした。何故別なフリーのメールアドレスを取るなり、プライベートのアドレスで代替するなりしないか。もちろんいろいろと面倒くさいというのもあるんですが、結構強い理由の一つが「怖いから」だったりします。今思い返せばおそらく雑誌にHPが紹介された頃だと思うんですが、数百キロバイトもするような添付ファイルつきのメールが連続して送られてきたことがありました。メーラーがメールチェック状態のままずっと動かなくなってしまったりして、あのときは本当にまいりました。すべて「私の小説を読んで感想をください」という内容のものだったのですが、唖然としてしまったのは、初対面の相手にいきなり数百キロバイトもする添付ファイルを送ることもさることながら(知ってる相手にだってそんな大きい添付ファイルを送るときはまず断りを入れるものですし、そもそも知らない人からいきなり添付ファイル送られてきたらウイルスを疑いますってば)、「はじめまして」とか「これこれこういう理由で小説を送らせていただきました」等の初対面においての常識的な挨拶がまったくなかったこと。何故かこういうメールが一時期に集中したので、その当時はメーラーを開くのがちょっとばかり怖かったりもしました。下手なホラーよりずっと怖かったです。



03/02/03(日) 半年ぶりの   by さと


 更新です。着実に退化しつづけております。

 気がつけば掲示板も利用停止状態に。そりゃなりますわな。副管理人のゆう。にとっとと掲示板を復活しろとせっつかれる日々、みなさんいかがお過ごしでしょうか。いやそれ以前にそもそも、

 まだここを読んでる人いますか?

 あまりに笑えない自分の言葉にハッハッハッてなもんです。周囲百キロ圏内になにも反応がない漂流中の船からSOSを発するときはこういう気分になるのでしょうか。そういえば今回の文章はなんかヤサぐれてますねー。とりあえずネタはたくさんありますあるはずなんですがありすぎて忘れちゃってたりしまして半年もさぼってましたからねそりゃ当然だアッハッハッ──だから笑えませんってば。

 とりあえずリハビリを兼ねて箇条書き雑記。本に関することでもつらつらと。

と言ったそばからぜんぜん本には関係ない話ですが、昨年末はとんでもねーことが起こって散々でした。なにはともあれ命は大切にしましょーということで。絶対どこかに悲しむ人がいます。生きてる人に言われ放題にもなります。反論不可どころか参加資格すらなし。そんなしょーもないことで自分は絶対長生きしてやろうと思ったりした次第。とりあえずトマトジュースを飲むことから。無塩がイケます。

○巷で噂の『ハリー・ポッター』を読む。思えばプロイスラーの『クラバート』大好き人間な私がはまらないわけがなかったわけで、現在は最新刊の『炎のゴブレット』上下巻3800円也が気になる日々。財布から鳥が飛んでいくのも時間の問題というところです。最初は児童向けのファンタジーだと思っていただけに、一巻のあのラストは意表をつかれまくりました。伏線とかもよく張られていて、ミステリ好きな方はより楽しめるかと。と勧めているわけですが、主人公の無敵すぎっぷりにはさすがに引っかかるものがあったりします。でも好きです。追いかけます。英語版にも挑戦してしまいそうな勢いです。

○去年はずっと食わず嫌いだったSFなるジャンルに殴り込み。とりあえず短編ものから入っていったのですが、当たりはずれの激しさはミステリに負けず劣らずで、一発ネタがフルスピードで自分の脇を通り過ぎたときなど、思わず手にある本をフルスイングで近くの側溝にぶん投げようかと思ったりします。ですが当たりを引いたときの幸福感はなかなかにすばらしいものがありまして、特に強く印象に残った当たりはダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』(注:短編版のほうです)レイ・ブラッドベリ『万華鏡』。共に最後の一行に滂沱の涙を流すこと請け合い。前者は『ヒューゴー賞傑作選2』に後者は『刺青の男』に収録されています。共に早川書房刊。問題は、おそらく両者とも現在新刊書店では入手不可能なことでしょうか。でも古本等で見つけたならば一読しておいて損はないかと。私はそろそろSF長編に挑戦してみようかと思います。『デューン』? そうか、『デューン』か。

○去年からインターネット専門の古本屋でアルバイトをはじめました。予想以上に宗教系の本が売れていくのに驚きを覚えたりしています。そんなこんなで、バイト先で、なんで日本ではこんなにも宗教が信頼されないのか、との話が出たりして、結論曰く「すべからく新興宗教が悪い」。一方で仏教神道の類はあまりに深く生活に根付きすぎて、それが宗教であるという自覚すら皆無だったりしますし。こういう話をするとたいてい「海外では無宗教なんてすごい変なんだ日本人は無宗教の人が多いだから日本人は変なんだああ恥ずかしい恥ずかしい」などという三段論法がマスコミで持ち出されたりしますが、個人的には「別にいいじゃん」と思ったり。それもまた文化、島国ゆえに培われた独自性。NoRiligionEverythingOKてなもんです。ちなみにそれほど親しくなかった中学時代の同級生から数年ぶりに連絡をもらい、懐かしさに駆られてのこのこ出かけた先で二人がかりの勧誘を三時間も受けてかなりバッドな気分になったことがあることはここだけの秘密です。いやちょっと好奇心半分でいろいろと話を聞きだしたのは明らかに自分の責任ですが。後で聞いたところによればかっての同級生は片っ端から被害にあったとか。南無阿弥陀仏。

 そんなこんなで今年もよろしくお願いいたします。



02/07/06(土) ひさびさの   by さと


 更新です。

 ワールドカップとかウインブルドンとか少林サッカーとかネタはいろいろあったのに更新せずにはや二月、みなさまいかがお過ごしでしょうか。あまりにひさびさなので、更新の仕方を忘れていました。FTPソフトをあれこれと再設定するだけで30分近くかかったり。あ〜疲れた。

 というわけで、ゆう。著「オルバースの哀歌」第一話「約束は酒とともに」をお送りします。なんかつづきものらしいです。つづかなかったら……ゆう。の責任ということで。まあ、第一話だけでも十分に楽しめる内容となっているのではないかと思いますので、よろしかったらどうぞ。

 さて、自分のものも書かなきゃ……。止まってるオンライン小説の新連載分も読みたいなあ……。



02/05/11(土) 二十年   by さと


 もうちょっと待って。

 以上、私信終了。

 さて、三月に注文したにもかかわらずさっぱり音沙汰のない取り寄せ本について書店で確認を取ってもらっていたときのこと。

 店員の方の確認作業をカウンター越しに待ちながらぼんやりと近くの海外ミステリの棚を眺めているうち、とんでもない単語が目に飛び込んできました。

 ジョン・ディクスン・カー『喉切り隊長』特別重版

 へ〜『喉切り隊長』重版か〜…………の、『喉切り隊長』!?

 カーの作品の中では珍しく全般的に好評な、でも長く絶版だったためとんとお目にかかったことのないあの『喉切り隊長』!? 慌てて一冊手に取り確かにそうであることを確認、即時購入。

 ウチに帰ってきてから読み始めようとして、ふと思い立ち出版年数を確認。

 1982年8月15日発行

 2002年4月15日重版

 20年を経て初めての増刷。そりゃあ見かけないわけだ。アッハッハッ、ニーサン納得。

 するわきゃねーだろ。おのれ早川書房めー。

 お願いだから『眠れるスフィンクス』も特別重版しちゃってください。あ、あとダンセイニの『ペガーナの神々』も。



02/04/20(土) 竹本健治「フォア・フォーズの素数」(光文社文庫『異形コレクション 玩具館』)   by さと


 最近の巨人戦を見ていると、もうハラハラドキドキです。いつエラーするか気が気じゃなくて。攻撃ばかりか守備においても視聴者の目をがっちりと捕えて離さない。さすが巨人。そのためだったら高校野球より酷いんじゃないかという守備だって許される──わきゃないです。どうかお願い、プロらしい守備を。

 前置き終了、さて、竹本健治「フォア・フォーズの素数」(光文社文庫『異形コレクション 玩具館』)。

 四つの「4」と計算記号を使って自然数を表す数字遊び「フォア・フォーズ」に魅せられた少年が、1から100までのすべてを「ファオ・フォーズ」で表せないものかと苦闘する、というお話。

 たとえば1と2なら、

 (4+4)/(4+4)=1
 (4/4)+(4/4)=2

 という感じになるわけです。物語の中の少年は1から100までを全部制覇しようとしているわけで、ちょっとやってみれば、これがいかに大変なことかはわかると思うんですが、このお話、その過程を余さず描写していきます。

 つまり、ぶっちゃけた話、物語のほとんどは「フォア・フォーズ」の計算式。数字、数字、数字、とにかく数字。ある意味「4」と計算記号の羅列。読者は文字を追うよりも検算している時間のほうが長いというものすごい短編。

 でもめちゃめちゃ面白い。こういうエッジの効いた短編を集めてアンソロジーを編んだら楽しいだろうなあ。



02/04/11(木) 「面白さ」考〜『パレット』より   by さと


 突然ですが、先日フリーソフトのゲームをやりました。

 『パレット』

 アスキーのRPGツクールで制作されたもので、第4回アスキー・エンタテインメント・ソフトウェア・コンテストのグランプリ受賞作品。内容はRPGというよりはアドベンチャーとパズルを足して2で割った感じです。精神科医シアノス・B・シアンが電話越しに記憶喪失の少女のカウンセリングを行い、精神世界の中をさまよいながら彼女の記憶の断片を探しあて、過去を探っていく、というのが主なゲームの流れ。

 最初はフリーソフトだからとあまり期待していなかったんですが、これが予想以上に面白いのですよ。ミステリ風のストーリーとカメラのシャッター音を用いた効果的な演出に、すっかりのめり込んでしまいました。ゲーム自体は5〜6時間ほどでクリアできてしまう程度のボリュームなのですが、個人的にはそこらに転がる市販のRPGよりも断然面白く感じました。といっても、最近はほとんどゲームをやってないのであまり偉そうなことはいえないのですが。

 何故この作品をこれほど面白く感じたのか? 自分の内面を分析するに、良質なストーリーや秀逸な構成、演出といったものもさることながら、やはりその独創的なアイディアに惹かれたのだと感じます。物語は時間軸どおりには語られず、ぶつ切りにされた少女の過去の記憶がごちゃまぜの状態で提示されるわけで、もちろんそこに製作者の意図した順番というものはあるものの、従来のよくある時間軸に沿ったRPGやアドベンチャーとは確実に一線を画しています。

 クリアしてから、似たような試みを行った作品がなかったか記憶を探ってみたのですが、ちょっと思い浮かびません。他の媒体でも、映画『メメント』は10分間ずつ記憶を逆行していくというもので逆説的な意味では時間軸に沿っていますし、記憶喪失をテーマにした小説は数あれど、その大半は過去よりも現実に主眼を置いたものですし。強いて近いものを挙げるとすれば高畑京一郎『タイム・リープ』と竹本健治『将棋殺人事件』。でもやっぱり両者ともニュアンスが違う。

 突き詰めていけば『パレット』も現実から過去を探るというストーリーではあるのですが、現実の時間軸の範囲を極端に狭めることで現実を事実上「なし」にしてしまい、「記憶」という名のパズルを埋めていく作業の面白さをつきつめているのですね。まさに「アイディアの勝利」なのです。

 で、つらつらと考えたこと。

 媒体がなんであれ、「面白さ」というものについて考えた場合、なによりも大きな要素を占めるのは、やはり物語の核となるアイディアの独創性であるわけで(このあたりは人によって諸説あるかもしれませんが)。これを考え、思いつき、まとめるのは非常に難しいし、いつもいつもこういったものを作品に込められるわけもないのは半ば自明のことですが、かといってこれを最初からあきらめてしまっては、その時点で「作り手」としての進歩は止まってしまうと思うわけです。「作り手」を自認するのであれば、この葛藤からは逃れられないはずだし、逃れてはいけないはずだ、と。ですがこの重要なファクターであるはずのところの独創性という点から見ると、市販作品よりもフリー作品のほうに軍配が上がるような気が個人的にするわけで……まあいろいろと思考は巡るわけです。

 本来プロの作品のほうが面白くあるべきなのに、しばしば『パレット』のようなフリーのゲームのほうを面白く感じるのは、安易に一般化するのは危険とは思いますが、プロがプロであるゆえにアイディアの独創性というものから乖離しまっているからかな、とか。逆にフリーの作品こそ、独創性を実現するのに適した形なのかな、とか。

 そんなことを常日頃から漠然と感じているから、オンライン小説というものに惹かれるのかな、とか。



02/04/07(日) 整理は踊る   by さと


 本日未明、急務となった部屋の掃除を敢行するべく、その必要条件である床に積み重なっている本の整理をはじめたところ――

 ○最近なんとなく再読したくなって買い直そうかどうか迷っていたアン・マキャフリイ『歌う船』(東京創元社)を発見。てっきり手放したと思っていたが、ただ単に忘れていただけらしい。

 ○散々古本屋で探し回ったロード・ダンセイニ『魔法の国の旅人』(早川書房)を既に所有していたことを知り愕然とする。確かに読んだ覚えはあったが、てっきり図書館でだと思っていた。てーか、忘れるな自分。

 ○同じ本を三冊見つける。竹本健治『トランプ殺人事件』を角川文庫版一冊、新潮文庫版二冊、計三冊。しかもまだ未読。買ってきて積んでおいて山に紛れてまた買ってきてまた積んでおいてまた山に紛れてまたまた買ってきて、という魔のトライアングルアタックが発動した模様。若年性痴呆症の可能性を真剣に検討することにする。

 ○文庫本が十五冊入るストッカーがいつのまにか三十を越えていた。テトリスのごとく壁を覆う様はなかなかに圧巻。これからも増えることを考えると、地震が来たときの覚悟が必要そうだ。

 ○懐かしい本を見つけるとついつい読み耽って整理なんかぜんぜん進まず、結局部屋を散らかすだけで終わってしまうという恐るべき罠。

 いろいろな意味で己の業の深さを感じた一日でした。



 いつのまにやら二周年だったりします。これまでご来訪くださった方々へ――ありがとうございます、そしてこれからもよろしくお願いします。



02/01/26(土) 神林長平『永久帰還装置』   by ゆう。


 長いです、ま、長編ですから。
 そしてSFです。神林長平ですから。
 と、まあ何を分かり切ったことをぐだぐだと述べているのかというと……。
 一言で感想を言い辛い作品だったのですよ、これが。

 自分で言うのも何ですが、わたしはある作家が書いたものが好きになるととことん読み込んでしまうきらいがあるのです。その中でも神林氏の作品は文庫、或いはハードカバーでも作品になったものならほぼ網羅し、二度、三度と文章を覚えるまで読んだものもあります。
 だからこそ、なんでしょうね。
 今回の作品はいろんな神林作品のペーソスを混ぜ合わせたようで、所々で「あ、これ、あの場面で同じようなことが……」と感じるところが多かった。
 同じ作家を読んでいれば少なからずこういう出会いはあるけれど、この作品に関して言えば、最初こそ今まで無かった感じを味わえましたが、後はやや残念だったかな、と。
 ファンだからこその、裏切りの期待が大きすぎたのでしょうか。

 嫌いじゃない、くらいの今回は感想でした。



02/01/13(日) 天童荒太『永遠の仔』(幻冬社)   by さと


 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

 蕎麦喰って酒飲んでごろごろしていた正月。本当はもっと本の整理とかしようと思っていたんですが、ぜんぜんまったくやることはありませんでした。まあ単なる本棚の飾りとなっていた本をいくつか片づけたので良しとしましょう。

 ちなみに、正月を利用して読み終えた本の中でいちばん印象に残ったのは、いろいろな意味で天童荒太『永遠の仔』(幻冬社)でした。上下二巻組、そのうえ上下二段組、そのくせ上下巻とも超長編と呼ぶにたる厚さ。一日丸々確保し、三食事前に用意し、朝の8時から読み始め、食事を取ったりトイレに行ったりしつつ読み続け、読み終わること夜の10時。推定原稿用紙枚数3000〜4000枚。これでこれっぽっちも面白くなかったら、壁に傷をつけているところでした。お互いのために良かった良かった。

 話は変わりますが、今回新たにリンクさせていただいた鈴々堂さんのサイト。

 鞠棚 http://www5a.biglobe.ne.jp/~shibarin/

 コンテンツにオンライン小説の紹介があります。興味のある方どうぞ。興味のない方もそんなこと言わずにぜひどうぞ。

 それでは今年もよろしくお願いいたします。



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