Notes 雑記






特集1

『夕焼けの赫』をめぐって

 拙作を取り上げるのは恐縮ですが、[MOZO] に掲載されている『夕焼けの赫』は、ラストの曖昧さから、賛否がはっきりとわかれた作品でした。それぞれの意見の主なところをまとめると、次のようになります。

 賛……こういった曖昧なラストも含めて、一つの小説としてまとまっていると思う。
 否……それまでの展開とラストで雰囲気があまりに違いすぎる。不自然だ。

 その中でも特に強い疑問を呈したのが、レビューの『神の声』の作者であるさいやさんでした。さいやさんは、まず掲示板に「どうも理解できない」といった主旨の書き込みをして疑問を提示し、ついでメールにて『夕焼けの赫』に対する疑問、およびその問題点を、こまかく書き述べて送ってくれました。これに対して私(さと@管理人)もメールで答え、そのやりとりは最終的にはかなりの量になりました。

 先日メールの整理をしていたとき、これらを通して読み返してみて、公開してみたら面白いのではないだろうかと考えました。読者と作者の間の垣根が低いオンライン小説の世界でも、ここまで忌憚ない意見のやりとりは珍しいと思ったからです。ここを見た方々になんらかのインパクトを与えることができるのではないか。そう考えました。

 よって、以下にそのやりとりを掲載したいと思います。なお掲載にあたって特に手を加えたということはありません。直したのは、明らかな誤字・脱字や改行の乱れのみです。これは、その当時の雰囲気・臨場感をそのまま味わってもらおうと考えたためです。

 また当然の事ながらネタバレです。本編未読の方は、適宜判断してお読みください。

 最後に、メールの掲載を快く許可してくださったさいやさんに、改めてこの場で感謝の意を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。



一通目
00/08/25 さいやさんからさとへのメール
件名:『夕焼けの赫』感想

さいやです。
遅くなって申し訳ないです。
『夕焼けの赫』の感想と質問を送らせていただきます。

まず感想なんですが
良くも悪くも『挑戦的!』ですね。

今まで掲載されている作品と比べると
語り手の情景描写のなんと緻密なこと。
特に具体的なものを抽象的に扱う表現は好き。
表現に対して挑戦しているように感じました。

ストーリーは…『八 解答』を除いての話ですが…惹き込まれますね。
二つの舞台を使っての単調な繰り返しが
次へ次へと足を進ませていく。
リズムのために単語や単文単位では繰り返しを使ったことがあるけれど
サスペンスで使っているのはおもしろいかも。

読者に対して…これが一番挑戦的でしょうか。
サスペンス? サイコホラー? で、どうなったの?
さっぱり分からないんです……。
こういった手法で真実は?というのは嫌ではないんですが
やはり『八 解答』に入ってからの展開のギャップは不自然過ぎませんか?
悪く言えば
登場人物と物語の前半と事件の発生だけを連ねてあるように
なってしまっていると思います。
必然性のない箇所が多すぎると思うんです。
それで理解できない部分を質問させていただこうかと…。

で、質問です。
と思ったのですが、どう質問していいのかもわからない…。
実は何度も読み返しながらこれを書いていて
既に2時間が経過してしまっている…………。

死者の朋子が正を殺しに来たホラーだと考えると全て納得。
でもそうすると『七 真実』までは読者に無駄な時間を強いたことになる。
だってね…それだったらメチャクチャでしょ。
サスペンスの最終章でゾンビが犯人でした〜ってなったらね。
どの推理小説も犯人はゾンビや魔法使いで正解になってしまうことになる。
これはないでしょう。

サスペンスとして考えると???だらけ。

朋子はなぜ死んだ?
『「簡単だよ。考えるのをやめちゃえばいいの」耳に朋子の熱い吐息がかかった。
「わたしみたいに」』
の言葉を信じれば自殺?
その日に屋上で何があったのかは不明だけど
美郷の話を信じるとすれば自殺の可能性はないので他殺。
正に色々聞き込んでる美郷の行動をも信じるなら正が犯人。
『 そして僕は気づいた。高倉の視線の先。高倉が見ているのは僕じゃない。僕の
横、つまり――
 僕の耳元でふふと楽しげな声がした。僕は悟った。これがあの日の後のできごとだ
ということを。』
を素直に受け取ると、正人がいる場で美郷が朋子を殺したということ?
誰かかがうそつきということになるとそれ自体物語が崩壊しそうな気が。

どう質問していいのかも分からず…。
何が疑問だか理解してもらえるといいのだけれど。
頭はスッキリしてるはずなんだけど…申し訳ない。



二通目
00/08/28 さとからさいやさんへのメール
件名:RE: 『夕焼けの赫』感想

さとです。

『夕焼けの赫』の感想ありがとうございます。
遅くなりましたが、質問に対する回答です。

まず、私が物語を書くに当たって考えた設定、
なにがどういう順番で起こったのかということを、
時系列に沿って並べてみます。
(こうしたほうが、わかりやすいと思うので)

1)五年前、(高倉)美郷と朋子の両親が離婚。
  (高倉)美郷が母親に、朋子が父親に、それぞれ引き取られる。
  美郷、相葉姓から高倉姓へ。

2)五年前、朋子の父親と正の母親が再婚。
  正、相葉姓を名乗るようになる。

3)一ヶ月前、朋子、想いが募り、正に迫る。
  正、これを拒否する。
  朋子、ショックを受ける(しかし、自殺するほどのショックではない)。

4)その数日後、朋子、高倉に相談。
  高倉、ほかの男と付き合ってみることを提案。
  朋子、その提案を受け入れる。
  明日屋上で正にそのことを告げる、と高倉に話す。
  (高倉が知っているのはここまで)。

5)その翌日、朋子、正を屋上に呼び出す。
  別な男と付き合うことにする、と告げる。
  正、得たいのしれない衝動に駆られ、その場で朋子を犯す。


6)その翌日、朋子、正との関係について「考えるのをやめ」て、自殺。
  正、警察に対して「朋子が迫ってくるのを拒否した」と話す。
  (屋上で起こった出来事については黙ったまま)
  警察、正の証言を朋子の自殺の原因と判断。
  家族への配慮から、マスコミへの発表を控える。

7)正、屋上に上って夕焼けを眺めながら、『問題』について考え始める。
  (自己満足的な罪の謝罪)
  正、夢に悩まされはじめる。
  (朋子の怨念。自分を拒否したことの罪の再確認を迫る)
  高倉、朋子の自殺の原因に疑問を抱く。
  朋子が正を屋上に呼び出したときになにかがあったのではと推測。
  正に対する制裁の準備を整える。

8)準備が整った高倉、屋上で正に鎌をかけはじめる。
  四日目に、高倉、確信を得る。
  高倉、正に眠り薬を仕込んだショートホープを渡す。
  一方、朋子も、確信を得る。
  (正が自分の罪がどこにあるのかを認識していない)
  朋子、高倉に憑き、現実世界で正を殺す。
  また、夢の中でも本性をあらわす。

以上です。
これをふまえた上で回答を。

>で、質問です。
>と思ったのですが、どう質問していいのかもわからない…。
>実は何度も読み返しながらこれを書いていて
>既に2時間が経過してしまっている…………。
>
>死者の朋子が正を殺しに来たホラーだと考えると全て納得。
>でもそうすると『七 真実』までは読者に無駄な時間を強いたことになる。
>だってね…それだったらメチャクチャでしょ。
>サスペンスの最終章でゾンビが犯人でした〜ってなったらね。
>どの推理小説も犯人はゾンビや魔法使いで正解になってしまうことになる。
>これはないでしょう。

すみません、それです(笑)。
素直にジャンルをホラーとしておけばよかったですね。
でも、あれがホラーかというと、それはちょっと違うような気もします。

おそらくさいやさんが納得がいかなかったのは、
朋子に関する伏線がなかったからではないかと思います。

つまり、それらしい雰囲気を出していなかったのに、
いかにもサスペンス調の世界観で進めてきたのに、
それなのにあのラストというのがしっくり来ないのではないかと。

だとしたら、これに関してはまったく私のミスです。
申し訳ありません。m(_ _)m

>サスペンスとして考えると???だらけ。
>
>朋子はなぜ死んだ?
>『「簡単だよ。考えるのをやめちゃえばいいの」耳に朋子の熱い吐息がかかった。
>「わたしみたいに」』
>の言葉を信じれば自殺?
>その日に屋上で何があったのかは不明だけど
>美郷の話を信じるとすれば自殺の可能性はないので他殺。
>正に色々聞き込んでる美郷の行動をも信じるなら正が犯人。

あの日、屋上で正が朋子を犯しました。
正に拒否され、正を忘れることを決心した朋子は、
その矢先に正に襲われ、ある意味、裏切られます。
混乱し強いショックを受けた朋子は、
その翌日、「考えるのをやめ」たわけです。

>『 そして僕は気づいた。高倉の視線の先。高倉が見ているのは僕じゃない。僕の
>横、つまり――
> 僕の耳元でふふと楽しげな声がした。僕は悟った。これがあの日の後のできごと
だということを。』
>を素直に受け取ると、正人がいる場で美郷が朋子を殺したということ?
>誰かかがうそつきということになるとそれ自体物語が崩壊しそうな気が。

「あの日の後のできごと」というのは、
「それまで見ていた夢は過去の記憶の反芻だったけれども、
これは違う。朋子が死んだ日から後のできごとだ」
=(これまでの夢も含めて)単なる夢じゃないことに正が気づいたということです。

これで疑問が解消されればいいのですが。
またなにかわからないことが出てきたらメールください。
それでは。



三通目
00/09/06 さいやさんからさとへのメール
件名:続『夕焼けの赫』感想

さいやです。

返事が遅くなりましたが丁寧な解説ありがとうございました。
設定を呼んでみると納得、の部分がありますが新たな疑問が…。

『 わたし? 高倉が「わたし」? 「あたし」じゃなくて?
 そして僕は気づいた。高倉の視線の先。高倉が見ているのは僕じゃない。僕の横、つまり――』

の部分をどう解釈していいものか。
朋子が実在してる?
とすればホラーにしかとれない。
実在していないとすれば正の空想の産物になる。
が、親しい顔見知りの死に顔を想像するのは非常に困難。
ということは正は飛び降りた朋子を目撃してその死体も見た、ということになる。
それならば問題の解決よりも朋子を無残な姿にしてしまった罪悪感に捕われるのでは?

『「簡単だよ。考えるのをやめちゃえばいいの」耳に朋子の熱い吐息がかかった。
「わたしみたいに」』

この部分も朋子が実在すれば話が通るけれどホラーになってしまう。
正の空想の産物とした場合は
朋子が自殺した理由を正が知っていることになる。
裏切られたから自殺したと。
でも正は犯したから死んだと思っているはず。
誘ってきた女を後日でもレイプして
相手が裏切られたと思ってるなどと男が考えるでしょうか?
これはないでしょう。
朋子のセリフが美郷のものだとすれば
美郷が自殺の理由を知っていることになる。
これもないでしょう。
自殺の前に朋子が美郷に相談したとするなら
自殺を止めるための手段を何らかこうじたでしょうから。
となると???です。

もう一点。
朋子が自殺した理由が不可解です。
好きな人に犯された翌日に自殺をするものでしょうか?
そう簡単には自殺をしないと思います。
特に女性は精神的に強いです。
朋子の場合は美郷という相談者がいたのだから
そうそう自殺などということを考えないのでは?
私の考える女性心理では
犯された時点で『裏切られた』より『求められている』と感じるのではないかと。
赤川次郎の小説のように
誰か死んでくれないと話が成り立たないから適当に殺した、なんて風に感じました。
口が悪くて申し訳ないですが
今までの作品が良かった分、無責任な感じがしました。
八章を直して欲しいなぁ、というのが本音です。

半分批判のようになってしまいましたが
質問か辛口の感想ととっていただけると嬉しいです。
ご迷惑でしたらもう書きませんからそう言ってください。



四通目
00/09/06 さとからさいやさんへのメール
件名:RE: 続『夕焼けの赫』感想

こんばんは、さとです。

こういう指摘は嬉しいかぎりです。
迷惑だなんてことはぜんぜんありませんので、
今後もなにか疑問に思ったことがあったら、ぜひぜひご意見ください。

これは本当にそう思っています(笑)。

さて、質問に対する回答です。

>『 わたし? 高倉が「わたし」? 「あたし」じゃなくて?
> そして僕は気づいた。高倉の視線の先。高倉が見ているのは僕じゃない。僕の横、つまり――』
>
>の部分をどう解釈していいものか。
>朋子が実在してる?
>とすればホラーにしかとれない。
>実在していないとすれば正の空想の産物になる。
>が、親しい顔見知りの死に顔を想像するのは非常に困難。
>ということは正は飛び降りた朋子を目撃してその死体も見た、ということになる。
>それならば問題の解決よりも朋子を無残な姿にしてしまった罪悪感に捕われるのでは?

まずこれについては、とりあえず私の見解を述べておきます。
「八 解答」は、章の順番からもわかる通り、夢の中です。
それは、これまでの偶数章と同じです。

そして、この中では、朋子は夢の中の正に触れることができます。
この朋子はある意味「実在」しています。
ですから、正の空想の産物ということはありません。

また、「八 解答」において、正は朋子の顔を見ていません。
朋子は後ろから近づいてきました。
そして、正は後ろを振りかえることができませんでした。
顔が前方に固定されたままだと、例え耳元に口を寄せられても、
その人の顔は見えないと思います。

つまり、正は最後の「気づく」ところまで、
朋子が「普通の」顔をしていると思い込んでいます。

また、正は朋子の飛び降り現場も、その死に顔も見ていません。
頬にあたった朋子の髪が「べったりと濡れていた」ことが
どういう意味を持つのかということについては、すべて読者の方の想像次第です。

正が罪悪感を明確に認識していないのは、それを認識してしまうと、
自分の精神が追い詰められてしまうからです。
『問題』について考えることで、それを(自己満足的な)罪滅ぼしと捉え、
無意識のうちに自分の精神を守っていたのだと私は考えています。

>『「簡単だよ。考えるのをやめちゃえばいいの」耳に朋子の熱い吐息がかかった。
>「わたしみたいに」』
>
>この部分も朋子が実在すれば話が通るけれどホラーになってしまう。
>正の空想の産物とした場合は
>朋子が自殺した理由を正が知っていることになる。
>裏切られたから自殺したと。
>でも正は犯したから死んだと思っているはず。
>誘ってきた女を後日でもレイプして
>相手が裏切られたと思ってるなどと男が考えるでしょうか?
>これはないでしょう。
>朋子のセリフが美郷のものだとすれば
>美郷が自殺の理由を知っていることになる。
>これもないでしょう。
>自殺の前に朋子が美郷に相談したとするなら
>自殺を止めるための手段を何らかこうじたでしょうから。
>となると???です。

すみません、これははっきりと朋子の台詞と認識して私は書きました。
ですから、正は朋子の自殺の理由をはっきりとは把握していません。

ところで、これまでの文と矛盾するようですが、この台詞をもって、
「正の空想の産物説」が覆るか、私は疑問です。
何故なら、あらゆる自殺が一種の思考停止だという共通認識が、
人々の間で一般的になっていると思うからです。
だとしたら、自己攻撃の衝動に駆られた正が、
夢の中で朋子が上の台詞を言うところを作り上げたとしても、
それほど矛盾はないと思います。

>もう一点。
>朋子が自殺した理由が不可解です。
>好きな人に犯された翌日に自殺をするものでしょうか?
>そう簡単には自殺をしないと思います。
>特に女性は精神的に強いです。
>朋子の場合は美郷という相談者がいたのだから
>そうそう自殺などということを考えないのでは?
>私の考える女性心理では
>犯された時点で『裏切られた』より『求められている』と感じるのではないかと。
>赤川次郎の小説のように
>誰か死んでくれないと話が成り立たないから適当に殺した、なんて風に感じました。

うーん、ここは書いた私の中でも非常にジレンマを感じているところです(^^;)。
うまく説明できるかはわかりませんが、なんとか試みてみたいと思います。
もちろん、この説明をもってさいやさんが納得できるという保証は、
ぜんぜんありません。その場合はすみません。

まず、さいやさんの指摘はまったくその通りだと私も思います。
女性は心理的な面で非常に強いと思います。
実際、自殺者のうちの四分の三は男性らしいです。

そして、朋子の抱えていた正に対する強い未練も考えると、
屋上で正に抱かれたとき、悲しみよりも喜びを覚えたという可能性のほうが、
確実に高いと思います。こと性に関わることになると、
人はしばしば素直に本能に従う傾向があると思いますし。

こうなると、正と朋子はラブラブになって、
ハッピーエンドまっしぐらというところです(笑)。

これに関しては、ぶっちゃけた話、作品を書きはじめるにあたって、
「自殺の理由を複雑微妙なものにしたい」と感じたのが、
その根ざすところだと言えます。

借金苦、いじめ、学業の挫折、失恋、暴行、罪悪感。
こういったある意味定番の理由を避けたいと考えたんです。
それはあまりにパターンにはまりすぎてつまらない、と。

そこで、「好きな男に拒絶され、一転して抱かれたため」
という理由をつくりました。
最初は「無理があるだろうか」とも考えましたが、
いろいろ検討して、「いや、可能性は十分ある」と結論しました。

まず、生真面目で、一見そう見えなくても、実は頑固な女の子を考えます。
彼女は、自分の考えたことに対して、一直線でもあります。
たとえ「兄妹」という世間体があろうと、自分がいいと思ったことなら、
そこに向かってまっすぐに突き進む、そんな女の子です。

この生真面目さを、さらに「若さ」という要素が補強しています。
高校生ぐらいまでの人って、一般的に正義感がとても強いと思うのです。
それは外に対してはもちろん、内=自分に対してもです。
自分に対して「絶対律」みたいなものを課していることもあると思うのです。

これは、「ほかの人がどう言っても、それを一面正しいと認めても、
自分は絶対にそれをする(あるいは、しない)」ということです。

さて、彼女は好いていた義理の兄に拒絶され、実の姉に相談します。
そして、もう兄のことをあきらめることを決めます。
そして、これが、彼女にとって先に挙げた「絶対律」になりえたのではないか、
ということを私は考えます。

「もう兄のことを諦める。そう決めたからには、未練は持たない」
そういう「絶対律」です。
もちろん、未練を持たないなんてことは無理です。
しかし、意識的には、表面的には、彼女はそれを断行します。
それは彼女にとって、矜持であり、存在意義に関わるものでもあります。

それをすぐ次の日に、兄によって打ち砕かれます。
これは彼女にとって、二つの裏切りを意味します。

一つは、彼女の想い&矜持に対する裏切り。
もう一つは、彼女が当然兄もそうであろうと思っていた、
つまり、兄も己の「絶対律」を持っていて、
それは私と同じ方向であろうと思っていた、
そのイメージに対する裏切りです。
兄は自分を失わない高潔な人物などではなく、
ただ本能のままにひた走る醜く哀れな人物だったと感じてしまったのです。
それは、これまでの想いが強ければ強いほど、
反動も強いはずです。

精神的なショックと身体的なショック。
ひとまず家に帰ったはいいものの、
否応無しにこれからの生活を考えざるを得ません。
裏切られた兄とこれから、
十年二十年三十年と関わりを持っていかねばならない。
もしかしたら関係を改善できるかもしれない、
だが、そこまでにいったいどれだけの時間がかかるのだろうか。
その間、どれだけの苦痛を味わわなければならないのだろうか。
これは「考えるのをやめ」たくなるほどの、どうしようもなく深い絶望だと思います。

という風に考えて、「自殺する可能性有り」と結論しました。
ただこうやって書き出してみると、
これを作品内で説明できていないのだから、
この作品ではこの理由を選ぶべきではなかったかもしれない、と思います。

>口が悪くて申し訳ないですが
>今までの作品が良かった分、無責任な感じがしました。
>八章を直して欲しいなぁ、というのが本音です。

これについては、正直リライトも考えていました。
朋子を引っ込め、単純に美郷と正の駆け引きにするか、
あるいは、根本から書きなおすという線です。
ただちょっと自分の中で書き終えたという気持ちが強くて、
今はモチベーションが湧きそうにありません。
やるとしたら、かなり経ってからになると思います。

その場合は、旧版と新版という形で両方掲載すると思います。
旧版だけ引っ込めるのはなんかずるいと思うんで。

めちゃくちゃ長くなってしまいました(笑)。
疑問があれば、とことん付き合いますので、遠慮なくお願いします。
それが自分の文章修行になるとも思いますので。

それでは。



五通目
00/09/10 さいやさんからさとへのメール
件名:ありがとうございました

さいやです。

何度も丁寧な解説をありがとうございました。
さとさんの考える設定は理解することができたのではないかと思います。
納得はできませんが……。

やはり特殊な設定は描写の必要があるのではないかと思うので…。
最終章だけホラーというのは変だし(←しつこいって)
朋子の自殺するほどの潔癖は特殊だと思うし
正が甘ったれた自己弁護をしようとしているのに
思考停止まで追いこんだと自認しているのも変な気がするので。

作品の中だけで完結できている次回作を期待してます。
……とこれは私の好みと言われればそれまでなんですけどね。
どうしてもルール違反だと思わざるをえないので。
熱心な読者のたわごとだとでも思っていてください。

お騒がせいたしました。



六通目
00/09/12 さとからさいやさんへのメール
件名:こちらこそありがとうございました

こんばんは、さとです。

こちらこそありがとうございました。
さいやさんの指摘に対する言い訳(笑)を考える過程で、
『夕焼けの赫』のどこがまずかったのかを把握できたと思うので、
本当に感謝感謝です。
鋭いツッコミには何度ヒヤヒヤさせられたことか。

さいやさんが納得できなかったのは、
すべて『夕焼けの赫』のデキが悪かったという一事によるものだと思います。
作品の中でしっかりと説明しきれていない、という。

次はさいやさんをうならせるような作品を書きたいですね。

>やはり特殊な設定は描写の必要があるのではないかと思うので…。
>最終章だけホラーというのは変だし(←しつこいって)

これはやっぱり問題でしたね。
最終章がなかったほうがスッキリしててよかったようです。

>朋子の自殺するほどの潔癖は特殊だと思うし
>正が甘ったれた自己弁護をしようとしているのに
>思考停止まで追いこんだと自認しているのも変な気がするので。

朋子の描写が少なすぎました。
というか、自分が納得しているだけの独り善がりになってしまいました。
いつもいつも同じ失敗を犯しているような……。

>作品の中だけで完結できている次回作を期待してます。
>……とこれは私の好みと言われればそれまでなんですけどね。
>どうしてもルール違反だと思わざるをえないので。
>熱心な読者のたわごとだとでも思っていてください。

いや、さいやさんの好みではなく、これは客観的事実でしょう。
さいやさんの指摘を受けたことで、
自分でもはっきりと失敗作と認識することができました。
次の機会があれば、そのときも容赦のないツッコミをお願いします。
それでこそ燃えるというものです(笑)。

ところで温泉は楽しめましたか?
今後は電車の中で変な人に会わないことを祈っております(笑)。

それでは。



[158] 読まれた方に質問なんですが…… 投稿者:さいや
投稿日:2000年11月14日(火)01時03分

特集UPされましたね。
メールの内容を見直してみると自分の読解力不足を感じさせられます。

でもやっぱり納得はいかないんです。
考えれば考えるほど。

特に最終章のあの展開を受け入れられた方はどのような捉え方をしたのでしょうか。
サスペンスとして? ホラーとして?

ホラーとして受け入れるのはかなり難しいと思うんですよね。
最終章以外は死者が行動できるなどという世界観が語られていないですから。私としてはニュータイプのアムロが「ザキ」とか「デス」と唱えてジオングを倒してしまうほどのルール違反なんです。

サスペンスとしてはキーワードが少なすぎるし……。

それで『夕焼けの赫』を読まれた方で納得された方々はどういう形で納得されたのかを教えていただけると助かるんですが……。


ゆう。
こんにちはー。
どうも。

まず私はあの当時、さとに明確な感想を伝えるメールを書かなかったので、いや、書くほど読み込んではいなかったんです。

で、当時一度読んだ段階では「良くなった」といった感想を書きました。
さいやさんのおっしゃる、どういう形で納得したかという問いの答えにはならないですね。
だから、それに対する回答はもう一度読んでからにしたいと思っています。

私は最初に「ホラー」という認識を持ってこの作品を読みました。で、確かに最後のところには曖昧さを残すところがある、と私も再考しました。
書き直し、かどうかは別としてですね。
そうですね……、今のところは最後の部分を除いて、私は評価をしています。

というのも、今までのさとが書いた文章にはなかった(全くではないけど)次へ、次へと読者を引っ張っていく力を感じたからです。
さりげなく具体例をだし、知っている人にはよりリアルな場面を想像させるところ。
インターネット、という表現媒体を使って読ませる連作的な章の構成。
そういったところを評価しました。

私は文章を読んで納得という形では、今まで考えたことが有りませんでした。
だからこのやりとりはすごく新鮮で、そして考えさせられています。
さと、自分で気づいているとおり、そして自戒の意味も込めて、「作品は独りよがりでは成り立たない」。

長くなりました。また書きます。
それでは。
2000年11月14日(火)01時18分

yurayura
『夕焼けの赫』
ゆう。さんに誘われたので、読ませていただきました(^^;

確かに面白い試みだけれども分りにくい印象は持ちました。
私が一番分らなかったのは、夕焼けの屋上で「何があったか」という点でした。
あの特集ではっきり分った次第ですけれども。
で、最後にホラーだと分る、といった形式の話は納得できるものがあります。いま流行でもありますしね(^^;

ただ最後の美郷は本人なのか、乗っ取られたものかというところがもう一つ分りにくいです。
多分さとさんの狙いはそこの曖昧さにあったと思うのですが。

しかしあの夢の部分のたたみかけはスゴイと思いました。
ネタバレすれすれなので、申し訳ないです。
お邪魔しました。
2000年11月14日(火)22時53分

さと@管理人
気合入れてレス
つけていこうと思います。
まあ私はアレを書いた当の本人なんで、あんまり言うことないといえばないんですが(^^;)。

>さいやさん

きましたね、さいやさん(笑)。
アレを読んだほかの方々がどんなレスをつけるのか興味深いところです。純粋な好奇心からこのスレッドの行方を見守ろうと思います。

>ゆう。

もう一度復唱しときます。
「作品は独りよがりでは成り立たない」
どうも私は自分の考えたコンセプトとか試みとかに目がいっちゃって、そのへんをおろそかにする傾向があるかも。次はそこらへん気をつけます。

>yurayuraさん

ども、私のまで読んでいただいてありがとうございます。
「屋上でなにがあったかわからなかった」という意見はほかにも数人の方からいただいてます。自分だけが了解して読者に不親切なこのあたり、やっぱり問題ありですね。

「曖昧さ」も「わかりやすい程度に曖昧」(ちょっと日本語変かもしれませんが)というのが重要なんだと思いました。

よかったらほかの方も意見ください。
大丈夫、怖くなんてないですから(笑)。
2000年11月14日(火)23時25分

H-SHIN

 私は何も考えずに読みました。それで納得できました。人の思考を自分に結びつけること自体が具の骨頂と考えるものなので(もちろん人の気持ちになって考えるということはしますが)、理解というより納得。そのまま受け入れました。
 展開のほうですが、特に気にはなりませんでした。(それより「どこまでも」の初めの描写だけがそれ以降とかみ合っていないと感じています。これはさとさんに以前メールで述べたことですが)ジャンルというものをはっきりさせるべきであるというのであれば確かに問題がありますが、私自身がジャンルを考えて書けない人間なので気にならなかったということです。
 「作品は独りよがりでは成り立たない」これは、売り物の話。と言わないと私までが否定されてしまいます(笑)。
 私はプログラムを趣味としているのでその立場を例にとります。私はエラーをなくし、なおかつメモリを無駄にしないで高速にしようと考えてソースを書きますが、今日日のサンデープログラマーはそれ以前に言語仕様そのものを理解せずにフリーソフトを作っています。そういう人たちのソースを読むと「馬鹿かこいつは」と思ってしまいますが、プログラムを趣味としていない人から見た場合、「とりあえず動いて、使えるんだからいいじゃない」ということになります。私の場合、小説においては「今日日のサンデープログラマー」ですから、あまり形式、読者、結末を気にしないのです。「面白い」「面白くない」だけで見ていると言ってもいいかもしれません。
 まぁ、ここを閲覧する方々は私以外に度素人はいないでしょうからこのような議論になるのでしょうね。精進するためであれば考える必要がありますが、作品そのものを修正するのは望みません。私は楽しめましたから。中身を変えられたらそれこそ「納得」できません(笑)
 何を言っているのか自分でも分からなくなってきましたが、とにかく、あれは素人から見た場合は作品として成立しているものとして受け入れられるのではないか、ということです。
2000年11月15日(水)12時56分

さいや
ありがとうございます
みなさんレスありがとうございます。
ゆう。さんもyurayuraさんもH-SHINさんも最終章をホラーとして読まれたようですね。

>ゆう。さん

私もホラーの認識を持って読んでいました。
でもホラーとジャンル分けしてしまえば死者が行動してもよい、というわけではないと思うんです。サイコホラー等の可能性もありますから。

確かに7章までは巧みに進んでますよね。
実は私は8章もなかなか良い出来だと思っています。
ただ世界設定的に7章までと8章が繋がらない。
それが納得がいかない理由なんです。

再読後の見解もよろしくお願いします。

>yurayuraさん

最終章にホラーだと分かる、って設定はドキッとすることが多いですよね。私もそういう作品は好きです。
でも『夕焼けの赫』は、7章までは現実設定を侵す不可解現象が一切発生していないし伏線もない。これは『最後に分かる』ではなく『最後だけ』になってしまっていると思うんですが…いかがなものでしょうか?

>H-SHINさん

ジャンルははっきりさせる必要はないと思います。
ホラーかサスペンスか?と書いたので誤解を招いてしまったようです。
これについては申し訳ないです。
納得できないというのは、最終章だけ死者が動き回ることが許される世界設定になってしまっているという点です。

下へ続く
2000年11月15日(水)20時42分

さいや
続きです
世界設定についてH-SHINさんの『君は君のまま』で例えてみます(ネタバレと判断されたら削除してください。私の基準ではOKだと思うので書きます)。

一貫した世界設定がとられているので快適に読み進むことができます。
第一話の銀行での事件。
加害者は魔法を使って犯行を犯したわけではないし、被害者は犯人の目星をつけても相手の心を読むわけでもない。どうしてしないか? できない設定だからです。
第三話の移動中。
なぜテレポートしないか? できない設定だからです。
第四話も同様の世界設定がとられていますよね。

ここで、もし第四話で、目的遂行のために他人に憑依して体を動かしてしまう、などということをしてしまったら第三話までとは違う世界設定になってしまう。それが許される描写や伏線がなければ世界観が崩壊してしまいます。
一貫した世界観の中でこそ物語は成り立つと思うんです。

『夕焼けの赫』はそういった意味で一貫していません。
私がプログラムの例で言うのなら、1章から7章はwindows用、8章はMac用になってしまっているということです。それぞれがどんなに良い出来だろうと、お互いの存在のせいでひとつのプログラムとして機能できない状態になってしまっていると思います。
それが納得がいかない理由です。

言葉が足りなかったようなので長々と補足させていただきました。
みなさんのご意見感謝します。
2000年11月15日(水)20時43分

yurayura

さいやさん、こんばんは。

>現実設定を侵す不可解現象が一切発生していないし伏線もない。
ということですが、あのパソコンの時刻をわざわざ表示している夢が十分伏線になっているのではないかと思います。
1分ずつ遡っている時刻表示にもっと注意すべきではないでしょうか。

でも、これはさとさんの作品ですから、読者がよってたかって解析してもあまり意味がないようにも思うのですが(^^;
2000年11月15日(水)21時42分

矢ツ橋 勝
私も。
H-SHINさんと同じような感じです。そのまま特に違和感も感じずに受け入れることが出来ました。ちなみに、私は活字ド素人人間です。ジャンルとかもほとんど意識してませんでした。心の動きとしては、最後の章までが、ドキドキドキドキって感じで、最後がドキリ!って具合でしょうか。かなり曖昧な感想ですね(^^;なので凄く余韻というか印象深かったです。結局は自分なりの解釈をして納得したんですが、その手法とかが良いとか悪いとかの判断は、自分ではできないもんですから。そういえば、ちょうどエヴァも解釈論で盛り上がりましたね。あの時も、テレビシリーズのエンディングで納得出来てしまった人間なんで、あんまり当てになんないですね(^^;それでは。ただいまヒーローマンプロジェクトに全力投球中の矢ツ橋でした。(ちょっと宣伝;)
2000年11月15日(水)22時15分

さと@管理人
気合入れてレス2
H-SHINさん、さいやさん、yurayuraさん、矢ツ橋さん、書き込みありがとうございます。更新作業をしていたらいつのまにかこんな時間になってしまいました。以下簡単にレスをつけさせていただきます。

>H-SHINさん

プログラムの例え、面白く読ませていただきました。これはここまでレスを下さった方々の意見が何故食い違っているのか、という問いに対する答えになりそうですね。

「スタンスの違い」=「その人が読者側と作者側のどちらにより強くスタンスを置いているか」=「どれだけ小説(技法、構成、統一性など含む)にこだわっているか」によって『夕焼けの赫』の捉え方は違ってくる。

どうもこれのような気がします。

>中身を変えられたらそれこそ「納得」できません(笑)

うーん、ダメですか?(笑) 
いずれやろうかなと結構本気で考えてたんですが。
そのときは新旧併載という形になるでしょう。

「面白い」「面白くない」だけで見るというのは、すごい納得ですね。重要なのは、まさにそれかと。

>さいやさん

詳細なレスおつかれさまです。
7章と8章の間に深い断絶がある、というさいやさんの主張は、私もそのとおりだと思いますね。書いたときもわずかながら自覚はしていたのですが、さいやさんの指摘によってはっきりと再確認できました。感謝です。

つくづく思うのは、偶数章(夢のパート)で、もう少し明確なホラーっぽい伏線をしいておけばよかったかな、と。そうすればもう少しは統一感が生まれたんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

下につづく
2000年11月16日(木)01時40分

さと@管理人
気合入れてレス3
上のつづき

>yurayuraさん

あれだけでラストがホラーって読めたりしました?(^^;)

>でも、これはさとさんの作品ですから、読者がよってたかって解析してもあまり意味がないようにも思うのですが(^^;

いや、これに関しては私自身の思いは別で、「どんどん解析してやってください」という感じです。それによって書いたときには思いもしなかった反応が聞けたりして、とても新鮮なんですよ。作者の頭は凝り固まってしまっていて、視野が狭くなりがちですから。

でも本音は「そういうのは読んでいて単純に面白い」からだったりします(^^;)。

>矢ツ橋さん

そういうどこか体感的な感想って新鮮だったりします。
人の感想は千差万別。ほんと面白いです。

エヴァは私も見てました。テレビのラスト2話で「これは現実か、それともシンジの夢なのか」とめちゃくちゃ悩んだ覚えが(笑)。加持が出てくるから夢想だろうとは思ってたんですが、だとするとやばいんじゃないかとか思ったりしました。

それとイラスト転載させていただきました。詳しくはメール送らせていただきます。

今のところ「納得できなかった」と強く主張しているのはさいやさんだけなんですが、ほかには同じような感想抱いた方はいないんですかね? 遠慮はいりませんよ。書いた本人が言ってるんだから間違いないです(笑)。
2000年11月16日(木)01時42分

さと@管理人
ところで
夢のパートに出てくる漫画のタイトル、三つの組み合わせが出てきますが、あれらのタイトルを深読みした人とかいます?

にしても「ふかよみ」が辞書に初期登録されていない……
無性に悲しい……
2000年11月16日(木)01時48分

こあとる
――しまった!?
 メチャメチャ乗り遅れてますうううっ!!?
 くはー、失敗っ。しかも言いたかったコト、ほとんど他の皆様に言われてしまっておりますし。

 えー、では一言だけ……。

 全然気になりませんデシタ(←気づかず楽しんでしまったヤツ)。
 読み込み足りない……? いやいやそんなことは。
 ワタクシはむしろ伏線ピースをきれいに配置していって、最後にジグソーパズルが完成するかのように「ホラー」に収束させたさとさんの技量に感心したモノでした。ホラーだと判った瞬間、「おおっ」と唸ったくらいであります。

 むう、もー一度読ませていただくです。
2000年11月16日(木)01時50分

H-SHIN
レス、遅くなりました
親知らずを抜歯しために閲覧/返事が遅くなりました。

>さいやさん
>納得できないというのは、最終章だけ死者が動き回ることが許される世界設定になってしまっているという点です。

 なるほど。しかし真実を知るためにはただ一人真実を「的確に」知っている人間に出てきてもらわないといけませんよね。この場合、死者が動き回らないようにするには、日記か何かが後で発見されるという形になるのでしょう。インパクトには欠けちゃいますけど、それが自然なのでしょうね。


>世界設定についてH-SHINさんの『君は君のまま』で例えてみます

 愚作をお読みいただき、感謝しきりです。
 銀行の事件、私自身は「伏線ないじゃん」と思いながら書いていました。この程度なら怒られないのかな? という感じです。
 第三話の移動中、あれは描写が細かくなかったので私自身は「テレポートしたみたいだな」と思っていました(本当に!)
 これらを踏まえると、多少の冒険は見過ごされるということなのでしょうね。私はもともと推理ものを書いていました。それも理詰めでがちがちの。友人に「犯人をそこまで追い詰める必要ないだろう」と言われたほどですので、正直、「『夕焼けの赫』は冒険したな」と感じました。私は難なく受け入れたわけですが。赤川ばかり読んでいたからでしょうね(笑)。

 推理ものとしての流れで見た場合、死者が動くのは問題ですね。やっぱり日記、うーん、手紙がいいかな? 手紙なら遅れて登場しても不思議じゃないし、死者の生前の言葉によって死者の力が働くように出来ます。取れるパターンを書いていることにより、さとさんの行く道をふさいでいるかも(笑)。


さとさん>
>うーん、ダメですか?(笑)

 がちがちの理詰めでいくのであればいいのではないでしょうか。そしたら、古いほうは消したほうがいいですね。


>「面白い」「面白くない」だけで見るというのは、すごい納得ですね。重要なのは、まさにそれかと。

 そう言っていただけると私の愚かな考え方も救われます。私にとって『夕焼けの赫』は非常に面白いものでしたよ。手法はどうあれ、最後に話全体の形が見えましたから。私には出来ません。
2000年11月16日(木)20時37分

sudo
ありゃ、ホント乗り遅れたなあ……
賛……こういった曖昧なラストも含めて、一つの小説としてまとまっていると思う。

と言っていたのが私です。

で、このスレッドでさいやさんが最初に訊ねているのが「最終章の展開を受け入れられた」人への質問ということなので、私の感想ももう一度書いておきます。

私は「サスペンス」というジャンル分けについては、かなり広義な意味があるような気がして、じゃあなにがサスペンスか、ということはよくわかりません。だから『夕焼けの赫』がサスペンスか否か、という議論には参加できないですね。

で、結論からいうと、私にとって『夕焼けの赫』は純然たるホラーですね。だって、とくに後半、読んでてすごい怖かったもの。

「伏線がない」ということを指摘しておられますが、yurayuraさんが言っているように、あの夢のシーンがある程度そういう役割を持っているようにも思えますが。

「説明や伏線なく超常現象が起こるのは不自然」とのことですが、たとえばこないだ見たホラー映画でこのことを考えました。
つい最近「ファントム」というディーン・クーンツ原作のビデオを見ましたが、あれは前半・中盤はかなり不気味です。が、後半になって敵の正体が解明されてしまうとまったく怖くない。
逆にスティーブン・キングの短編集などを読むと、ほとんどなんの説明もなく怪物やらいろいろでてきて、最後まであいまいなままなものが多いです。で、こちらのほうが強烈に怖い。

何が言いたいかというと、設定等ある程度曖昧に見えても、小説として完成しているものもあるんじゃないかということです。ホラーの場合、それによって圧倒的な恐怖感を演出できることもあるように感じます。

ただそれも書き手がそう演出するからそうなるんであって、ただ単にしりきれとんぼの作品ならそうならないかもしれない。いちがいにいえるようなコトじゃないでしょうね。

そんなわけで、私は『夕焼けの赫』を読んで、そうした曖昧さも含めてすごく怖かった。だから、これはこれで一個の完成されたホラー小説だと感想を書いたわけです。いまでもそう思ってますね。

ありゃ、書き始めたらずいぶん……長文失礼しましたm(__)m

……それにしてもこのスレッド、えらい長さになってますねえ……結局みんな好きなのかな、こういう話(^^;
2000年11月17日(金)01時19分

さいや
あの展開もあり?
みなさん色々な意見をありがとうございます。
ホラー(死者が実在して行動)として読まれた方ばかりのようですね。

>yurayuraさん

時刻表示については意識して読んだつもりです。あの描写で見落とす読者もいないと思いますが。
時刻表示をカウントダウンの意味にとろうと、偶数章で時間軸を逆行させて真実に近付いていく意味にとろうと、死者が動きまわれることへの伏線として受け取ることはできませんでした。カウントダウンさえしておけば何でもありになってしまいますから。

>矢ツ橋さん

>心の動きとしては、最後の章までが、ドキドキドキドキって感じで、最後がドキリ!って具合でしょうか。

分かります。章構成や盛り上げ方が実にうまいと思うんです。
だからこそ『八章を直して欲しいなぁ』なんて書いちゃったんです……。

>こあとるさん

気になりませんでしたか……。
ホラーに収束させたというのはうまい表現ですね。
私から見ると『死者が動きまわっても構わない設定への伏線』というピースが足りませんでした。

>H-SHINさん

>銀行の事件、私自身は「伏線ないじゃん」と思いながら書いていました。

その場面では別に明瞭な伏線がなくても問題ないと思います。世界設定にも物語の展開にも影響はないですから。

>第三話の移動中、あれは描写が細かくなかったので私自身は「テレポートしたみたいだな」と思っていました(本当に!)

確かにもう少し描写があるとおもしろいだろうな…とは感じましたが、実際にテレポートをしたわけではないのは文意から明らかなので問題ないと思います。

下へ続く
2000年11月17日(金)02時22分

さいや
続きです
>推理ものとしての流れで見た場合、死者が動くのは問題ですね。

この点は、最終章を完全に夢パートにしてしまうことで解決が可能になります。
私は『死者が実在して行動する』ことを受け入れられなかったので『死者は夢の中の想像の産物』という設定のサスペンスとして何度も再読しました。これなら世界観の一貫性が出ますから。

この設定の推理小説として読むと、とてもおもしろいんですよ。
第一の事件を明らかにするのは悪夢の中の第二の事件。
曖昧だった屋上での出来事を、第二の事件の中からキーワードをかき集めて真相を明らかにする。
しかし語り手(正)は語れなくなる(夢の中で死ぬと現実でも死ぬという考え方がある)から、きちんと推理したものにしか真相は分からない。
物語中の問題とは読者に対する『問題』でもある。
真相を物語中で明かさない以上《解答は無数》は読者の数のであることも語る。

…なんて考えて推理をしていたら行き詰まってしまって、さとさんに質問のメールを送った次第なんですが。

>sudoさん

たいへん説得力のある書き込みですね…ありがとうございます。
自分が四方四面過ぎるのかと考えを改める方向に向かってしまいます……。

>で、結論からいうと、私にとって『夕焼けの赫』は純然たるホラーですね。だって、とくに後半、読んでてすごい怖かったもの。

多分このあたりの見解は違うんでしょうね。
私は物語途中の怖さは『見えない真相に向かう緊張感』で、最終章は『異形のものによる恐怖』と捉えてしまいました(読んでる最中は『なんか変だな』くらいの感じでしたが)。最終章で怖さをすりかえられてしまった気がしたんです。
う〜ん、うまく表現できないんですが…怖いのと醒めていくのが半分ずつくらいになっちゃった感じなんです。

設定については曖昧でも構わないと思います。
不可思議なことについても説明がなくてもいいと思います。
ただ最終章だけ世界設定が変わってしまうというのはどうも受け入れられないです。

>さとさん

『ホラーっぽい伏線』より『ホラーとも読める伏線』くらいのものがいいかと…(←わがまま)。
それ以上に『この展開もあり』の考えが頭をもたげてきているところです。

う〜ん、私の頭が固いのかな?
2000年11月17日(金)02時23分

さと@管理人
すごいスレッドでした
ご意見をくださっった皆様、どうもありがとうございました。

残りレス数を減らさないようちょっと様子を見守っていたんですが、ひとまず議論が落ち着いたようなんで書き込みさせていただきます。

もともとはっきりとした結論の出せない議論だったとは思いますが、みなさんの意見を聞けてとても参考になりました。また純粋に議論の推移がおもしろくもありました。この議論のすべてのきっかけをつくってくれたさいやさんには特に感謝です。数回にわたる詳細なレス、本当におつかれさまでした。

私自身の中では「あれでよかった」と言ってくださる皆さんの意見に勇気づけられつつも、さいやさんのおっしゃるとおり「もう少し設定と伏線を詰めて全体の統一感を増しておけばよかった」と感じています。そのほうがより完成度が高まった=より多くの人に受け入れられたと思うからです。やっぱり少しでも作品の完成度は高めたいですからね。

最後に、この議論を継続および発展させようという方は新たにスレッドを作ってくださるようお願いします。
2000年11月18日(土)23時46分



特集1(了)




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