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 タイトル 「今は亡きレーゼに捧げる……」 (梢さん/日常ミステリ/完結)
 掲載HP りんごページ
 おすすめ度 ★★★   作品の特徴 人が内に抱える孤独
 印象深い一文 けれども、「いかにも」の裏で、彼女は死という闇に身を投げた。
 駅ビルの書店に勤める杏子は、一月前に注文を受けた絶版本が見つかったため、注文をした女性の家に電話をかける。だが、電話に出た女性の母親は突然怒り出す。娘は二ヶ月前に亡くなったというのだ。困惑した杏子がアルバイトの多絵にそのことを話すと、多絵は「謎は私が解きます」と言いはじめて――。

 日常ミステリの中編です。「死者からの注文」という謎に、杏子&多絵のコンビが挑んでいきます。謎はミステリの一般的な形式に沿って丁寧に解体されていき、安定感があります。また、物語が進むにつれて浮かび上がる「人が内に抱える孤独」というテーマは非常に重く、淡々とした展開とあいまって、どこか純文学的な雰囲気をこの作品に与えています。決して派手さはありませんが、読むごとに味わいのある佳編だと思います。特に「娘は二ヶ月前に事故で他界しました」という冒頭の母親の言葉は絶妙。後に繋がる母親の心情が端的に表されています。同じく杏子&多絵が活躍する『標野にて。君が袖振る』も合わせてどうぞ。(00/10/22 さと)

 以下ネタバレあり批評。興味の有る方は、本編読了後、文字を反転させてご覧ください。

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 この物語に問題があるとすれば、それはトリックでしょう。森口美奈子=柿崎あゆみという構図を許容できるか、つまり杏子が変装をしていた柿崎あゆみを見抜けなかったという事実を、「そういうこともある」と取るか、「そんなことあるかよ」と取るかで、この作品の評価はがらりと変わってきます。私は納得できましたが、このトリックを受け入れられない人にとっては、物語全体の評価が辛くなることでしょう。このあたり、書店の仕事の忙しさ、人の顔をはっきりと確認などしていないという部分を、読者にもう少し強く印象付けたほうがよかったように感じます。でも、私はこれはありだと思います。なにせ、女性の化粧術の凄まじさに恐怖すら感じている人間なので(笑)。

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