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 タイトル 「頼子の日常」 (一色秋人さん/ショートショート/完結)
 掲載HP LightSide
 おすすめ度 ★★★   作品の特徴 驚きの仕掛けはラスト数行にあり
 印象深い一文 
 オンライン小説は数あれど、本格的なサプライズ=意外性を味わわせてくれる作品はほとんどありません。それほど作品に意外性を持たせることは難しく、プロにとってすらそれが同様であることは、意外性を作品の主幹とする本格ミステリの数々を眺めてみればよくわかります。やはり、技術だけではいかんともしがたい斬新な発想が求められるからでしょう。

 ところが、今回紹介する『頼子の日常』は、原稿用紙わずか二枚、文字数にしてたった六百字で、唸ってしまうほどのサプライズを与えてくれます。ショートショートは「キレのよさ」と「インパクト」が命。その点、この作品はずば抜けています。しかも、読中に感じた微妙な違和感は、すべてラストのための伏線だったという小憎らしさ。個人的な話になりますが、私はこの作品を読んだあと、真っ先に東野圭吾さんの『ある閉ざされた雪の山荘で』(講談社文庫)を思い浮かべました。気になる方はこちらもご覧になってみてはいかがでしょうか。

 問題があるとすれば、「文章を書く」という行為にある程度意識的な方でないと、そもそもなにがサプライズなのか気づかない可能性がある、ということでしょう。念のため下にネタバレありの解説を用意しておきますので、参考までにどうぞ。(01/03/12 さと)

 以下ネタバレあり解説。興味の有る方は、本編読了後、文字を反転させてご覧ください。

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 物語はまず「頼子は〜」という出だしによってはじまり、ついで帰宅後の頼子の行動が詳細に描写されます。この時点で読者は「ああ、この物語は三人称=神の視点なのだな」と思います。しかし読み進めていくと、各所に「豪快に」「乱暴に」「形の良い」「煩い」などのどこか主観的な判断を示す語句が現れます。読者はここで微妙に違和感を感じはじめます。「あれ、これって神の視点のはずなのに、こんな言葉使っちゃっていいのかな」と思うわけです。ところがラスト、「──またテレビをつけっ放しだ。もったいない」という独白とともに「私」がベッドの下から這い出てきます。そう、つまりこの物語は、ストーカー(?)の「私」がベッドの下からひたすらに頼子の行動を観察していたという一人称の物語だったのです。主観的な語句が入って当然だったというわけです。

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