「伸びる、伸びるよ金属棒」
謎界への案内人・鉄の目キリコ



どこの学校にも「七不思議」というのがあるものです。真夜中に誰もいないはずの音楽室からピアノを弾く音が聞こえる、ある時間になると階段の段数が変わる、深夜のプールで人魂のようなものが漂う、などなど。
私が通っていた中学校にもやはり「七不思議」がありました。いずれもまぁ、よくある類の怪談話で誰も本気では信じていなかったでしょうが。
しかし、うちの学校には一つだけ妙な話が含まれておりました。それは「技術室の床から金属の棒がにょきにょき伸びてくる」というもの。私も最初は信じていなかったんですが、実はこれだけは歴とした事実だったのですね。

技術室は本舎とは別棟にあるんですが、言われてみると確かに技術室の床には切り口を見せた金属の棒のようなものがあちらこちらに埋まっている。
んで、私の座る席のところにも足元あたりに一本埋まってたんですが、最初は床面と同じくらいだったから気付かなかった。でも1月ほど経つとちょっと出っ張ってきたような感じが。2月経った時には、こつこつと足に当たるようになり、数ヶ月後には1センチ以上に成長(?)しているのです。しかもあちらこちらの金属棒どもが皆すくすく伸びちまってるもんだから歩くとつまずいたりして邪魔でしかたない。
「にゃるほど、これのことか〜。こりゃ確かに伸びとるわ、不思議だなー」と妙に感心しましたね。
私らの間ではしばらくそのことが話題になり、「どっちの棒が伸びるのが早いか?」なんて競うやつらはでるわ、自分の席の金属棒に名前を付けて可愛がるやつはでるわ、妙に盛りあがったものです。あほじゃ。

しかし技術の先生にとっては不思議話でもなんでもなく日常の厄介事のひとつに過ぎなかったようです。金属棒どもが成長しているのに気付いた先生、「この前切ったばかりなのに、もう伸びてきたか」と舌打ちひとつ。授業後、糸鋸を持ってしゃがみこみあちらこちらの金属棒どもを一生懸命切っておりました。「俺のジェニファーだけは切らないでくれ〜!」とか訴えてるアホもおりましたが、やっぱり切られちゃいましたな。わはは。

ま、種を明かせば地盤沈下が原因だったのですが(それも別の意味でコワいが)、植物のようににょきにょき伸びる金属棒、おもしろ不思議な思い出であります。
(2002.2/5)

 

 

 

  


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