「おろく」
(霊界への案内人・鉄の目キリコ)
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これは私の知人のY君の体験談です。彼は非常に現実的な人間で不思議譚の類は全くといってよいほどしないのですが、珍しくも一つだけ話してくれたのがこのお話。
彼は以前長野県の山岳救助隊で働いていました。これが実にきつい仕事で普通の人には三日も勤まらないほどのものだそうです。遭難、落雷、事故などで命を落とした死体にもよく出くわすし、その処理もしなくてはならないし・・・。肉体的にもハードなのはもちろんですが、精神的にもよほど強靭でなければやっていけないとのこと。
さて、海で溺死した死体のことはよく知られているように「土座衛門」といいます。それでは山で、例えば滝壷や川などで不幸にも溺死してしまった死体のことは何と呼ぶのでしょうか?・・・答えは「おろく」。語源もどういう漢字を当てるのかもわかりません。ただ「おろく」という不気味な言葉で呼ばれるそうです。
ある日、Y君が数人の仲間と共に遭難者の救出に向かった時のこと。その日は遭難者が見つけ出せず、麓のベースキャンプに戻れる距離でもなかったためやむを得ず途中の山小屋で夜を過ごすことになったそうです。
シュラフにくるまって眠っていたY君、普段はどんな所でもぐっすり朝まで眠る彼ですが、その晩はどうしたわけか真夜中にふと目覚めてしまった。そして、枕もとのただならぬ気配に気付いて目をやると・・・黄色いカッパを着た男が枕もとに立ち、じっ・・・と無言で彼を見下ろしているのです。
「これは・・・ヤバイ!!」と彼は直感的に思ったそうですが、金縛りになってしまって指一本も動かせない。自由になるのは目だけで、必死に目で訴えかけても他の隊員達はぐっすりと眠っていてまるで気付かない。
彼はしばらく冷や汗をかきながら目だけをさまよわせていましたが、やがてその男は消えるようにいなくなってしまいました。
そして翌日、件の遭難者が溺死体となって発見されたとの報が届いたのです。その「おろく」は・・・黄色いカッパを着た男、だったそうです。。。
(2002.2/5)
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