★マリア・カラニエミ&キンモ・ポホヨネン  from Finland
光と精神、闇と肉体・・・そしてひたすらなる美・・・。

●日時
・2001年8月12日(日)、開演午後7時〜終演午後10時頃

●場所
・トリビュート・トゥ・ザ・ラヴ・ジェネレーション(東京お台場)

●登場アーティスト
・Maria Kalaniemi/マリア・カラニエミ(アコーディオン、ヴォーカル)、Timo Alakotila(ピアノ)、Olli Varis(アコースティック・ギター)
・Kimmo Pohjonzen/キンモ・ポホヨネン(アコーディオン、ヴォーカル)

 

↑異様なオーラを放つキンモさんとお美しいマリアさまの「美女と野獣」の図(暴言?^^;)。


↑パンフ裏の解説。文中にあるシベリウス・アカデミーは、現代のフィンランド・トラッド・シーンを語る上で欠かすことの出来ない重要な大学です。しかし、マリアさんとキンモさんとが講師とは・・・授業、受けてえ〜!(><)


今回はフィンランドのアコーディオン奏者2人のライヴであります。これは凄かった・・・!まずは二人の簡単な紹介を。詳しくは↑のパンフ裏の解説をご覧ください。

今でもトラッド・ファンの根強い支持を受けているNIEKKU(ニエック)というフィニッシュ・トラッド・バンドがありました。83年の結成から89年の解散までに3枚のアルバムを残していますがどれも非常に高品質な作品で、音楽面でも人脈面でも後のアーティスト達に大きな影響を与えています。そのニエックにアコーディオン奏者として在籍していたのがマリア・カラニエミです。解散後はソロや自分のユニットAldargazなどで活動中。

一方のキンモ・ポホヨネンは、もともとフィニッシュ・トラッド畑の人だったそうでOttopasuunaというバンドに在籍していたらしい(ヴァルティナのメンバーも在籍していたそうな)。トラッドに飽き足らずソロに転向、パフォーマンス要素の強いアヴァンギャルドなステージ・ワークで各地で絶賛を浴びているかただそうです。

先に白状してしまいますが、わたしゃキンモさんも、ニエック解散後のマリアさんも全く未聴なのです。(^^; ただ「元ニエックのアコーディオン奏者が来日!」というのを知って、「ニエック時代の曲をやるわけもないし、もう一人も全然知らないし、どーしよっかな〜」と結構迷ったのですが・・・こりゃ行って大正解でありました♪

★第一部・マリア・カラニエミ

前半はマリアさん、ピアノのTimo Alakotila、ギターのOlli Varisのトリオによる演奏。フィンランドのウエディング・ソングやポルカ、ポーシュカ、ミュゼット、タンゴまでバラエティ溢れる曲の数々を、時には甘くゆるやかに、時には激しくワイルドに、時には浮き立つほどダンサブルに、ぴたりと息の合った見事なアンサンブルで聴かせてくれました。
マリアさんのアコーディオンは絶品ですね〜。なんというか、ヴェルヴェットのようなしっとりした触感で、目を閉じて聴いていると柔らかい光に包み込まれるような感があります。官能的、とすら言えるかもしれません。
アコーディオン単体でも魅力的ですが、ピアノやギターと絡み合うと互いの楽器の持ち味を引き出しあって一層素晴らしい。アコーディオンの甘やかな持続音が空間を満たす中、きらきらきらと美しい軌跡を残して消えては現われるピアノの調べ、その背後に響くギターの張りつめた硬質な音・・・。う〜〜ん、ため息。。。(*^_^*) アコーディオンのことは何も知りませんが、この組み合わせは理想的な編成だと思いましたね。最小限の楽器による最良の音楽、という感じ。Olli(オッリ?オンリ?)さんのギターもさることながら、ピアノのティモさんの緩急自在のプレイも特筆ものでしょう。
曲で言えば、ゆるやかに香る1曲目、ギターの美しいアルペジオが印象的だった2曲目、華やかなダンス・チューンの4曲目、リズムのダイナミックな変化がカッチョ良い7曲目、ピアノとアコーディオンとが叙情的に絡みあう9曲目、緩急の落差とびったり決まったユニゾンが何ともしびれる10曲目、うきうきするようなフィニッシュ・タンゴの12曲目、ダイナミズム溢れる13曲目、そしてアンコールのウエディング・ソングの14曲目などが特に心に残っています。実に質の高いステージで、どの曲も素晴らしかったですね〜。(^o^)
マリアさんが演奏に没入している時の陶然とした表情が印象的でありました。それにしてもマリアさん若いなぁ。ニエック時代の写真の印象とあまり変わってないや〜。

★第二部・キンモ・ポヨネン

休憩をはさんで第二部はキンモさんのソロ・ステージであります。このステージは、文字通り筆舌に尽くしがたいシロモノでありました!無理矢理言葉で表現するならば、アコーディオンとヴォイス・ワークを主体としたシアトリカル要素の強い前衛パフォーマンス音楽てな感じ!?
彼がステージに上がった時に最初に驚いたのは、アコーディオンに様々なエフェクターをつないでいること。アコーディオンの音を変調させてスペイシーなサウンドにしたりもするのですが、さらにユニークなのは「ある音を取り込んでそれをシーケンサーのように繰り返す」装置でした(名称がわからない・・・)。キンモさんはこの装置を非常に巧みに使いこなしていましたね。例えば、アコーディオンを彼がスットコトントンと叩く。そして例の装置を踏むと、「スットコトントン」の音がそのまま取り込まれて解除しない限りず〜っと鳴り続ける。自分で作った即興的なリズムに合わせて、演奏やパフォーマンスを行なうわけです。
この装置を巧みに使った演奏で非常に面白く印象的だったものがありました。顔を激しくしかめながら執拗な舌打ちを繰り返すキンモさん、はじめは笑ってしまうくらい滑稽な仕草と表情なのですが、本人はいたって真剣な顔。そのうちに舌打ちがどんどんスピードアップして、一種病的な何とも異様な雰囲気になっていきます・・・チッチッテュッテュッ、ヒュー(息を吸い込む音)チッチッタッタッ・・・「んじゃこりゃ!?」と思っていると、彼が例の装置を踏み、舌打ちが取り込まれてミニマルに繰り返される・・・すると不思議なことにその音はまるで川のせせらぎのような自然の水音のように聴こえるのです。それをバックに奏でられるゆるやかな美しいメロディ・・・「こんな音楽があるのか!」と清新な驚きを覚えたものです。
過剰とも思える身体的パフォーマンスもキンモさんのステージの特徴でしょうね。全身を痙攣させながらアコーディオンを弾き、立ち上がってロボットのようなぎくしゃくとした非人間的な動作で歩き回る。大仰に顔をしかめて叫び、おめき、一転して切なげな表情で静かにスキャットをする。アコーディオンと格闘しているかのような激しいインプロヴィゼーションを行なったかと思えば次の瞬間には静かな美しいメロディを奏でる。・・・闇のオーラをむんむんと発散するような異様なエナジーと予測不可能な展開の連続に、こちらはもうただただ食い入るように見続けるのみ。ヤバいくらいの凄まじさであります。幻想的・幻惑的なライティングも効果絶大で、視覚と聴覚とで体感する魔的音楽世界という感じでしょうか?あまりにも衝撃的なステージでありました。。。

アンコールに応えてマリアさんも一緒に登場。そしてこの2人がデュオで共演したのですが、その曲の素晴らしかったこと!ゆるやかなテンポで2人のアコーディオンが重なり合い、キンモさんの低音のスキャットとマリアさんのクリスタル・ヴォイスのスキャット(今回のライヴで披露した唯一の歌声)とが絡み合うそのさまは、まさに天上から降ってきたような美しさ・・・。鳥肌ものでありました〜。(* ̄▽ ̄*) 
そして二度目のアンコールはキンモさんのソロ曲「ボディ」(なるほど〜、って感じ)で〆。

★最後に

予備知識がなかったせいもありますが、予想を遥かに越える素晴らしいライヴでありました!前回のファーマーズ・マーケットの時にもつくづく思いましたが、アコーディオンという楽器がこれほどのものだとは・・・目からウロコがぼ〜ろぼろ。
第一部のマリア・カラニエミが「精神性」と「光」を強く感じさせたならば、第二部のキンモ・ポホヨネンは「肉体性」と「闇」を強く感じさせました。そして好対照の2人が共演したアンコールでは、純粋な「美」を。これほどのアーティストと同時代に生きることができて、ほんに嬉しいことでありまする♪(^o^)
(2001.12/30追加アップ)

 

 

 


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