●1973年、松本雅隆(クルムホルン、リコーダー、バグパイプ、ハーディ・ガーディ、他)により中世・ルネサンス時代のヨーロッパ音楽、古楽を現代に再現することを目指して結成される。メンバーはアルバムやコンサートごとにしばしば変わっているが中心人物は松本と上野哲生(リュート、サーズ、プサルテリー、他)の二人。
79年、デビューアルバム「古楽の調べ」を発表(未CD化)。84年、中世典礼劇「ダニエル物語」の音楽を担当し高い評価を得る。
93年、2ndにあたる「ドゥクチア」を発表。この作品は96年の映画「絵の中のぼくの村」全篇でも使用されたことで注目された。
95年〜96年にニッポン放送で放送された宮崎駿製作の連続ラジオドラマ「雑想ノート」ではBGM全般を担当、96年に「宮崎駿の雑想ノート」シリーズとしてCD化されている。
現在でも東京のロバハウスを拠点としてコンサート活動をメインに幅広く活動中である。
その一方、82年には松本と上野により子供たちに音楽と楽器の楽しさを伝えるべく別ユニット「ロバの音楽座」が結成。カテリーナ古楽合奏団の姉妹合奏団としてやはりロバハウスを拠点としてコンサート、ワークショップ、テレビ出演、音楽体験キャンプなど様々な活動を行なっている。
(2002.1/8)
>2001年4月のライヴ・レビューはこちらから。
| Discography(正規アルバム) ※発売年、タイトル、レーベル |
1979 「古楽の調べ」 CBSソニー
1993 「ドゥクチア」 クルムホルンレコード
1996 「宮崎駿の雑想ノート・X」 徳間ジャパンコミュニケーションズ(サントラ)
"Ductia"/「ドゥクチア」(1993年、2nd)

↑楽しい雰囲気のほのぼのジャケット。ええ感じや。。。

↑あちらこちらに古楽器が見られますね。しかし、よく見ると奇妙な絵だこと。

↑編成、使用楽器。な、なんだこの楽器の数はっ!?(゜o゜;) しかも馴染みのない古楽器や民族楽器ばかり、演奏ももちろんだけど手に入れるのも大変だったようで、入手できないため自作した楽器もあるそうな。中世の音楽家の多くは楽器職人、作曲家、演奏家などを全て兼ねていたそうですが、それを思わせます。

↑曲目。古楽と言ってもすべて器楽曲です。
★日本の古楽アンサンブルのパイオニア的存在、カテリーナ古楽合奏団の93年のセカンドアルバム。彼らの場合、忠実に楽曲を再現するよりもいかに楽しく魅力的な音楽を創り出すかということに力点が置かれているため、コンテンポラリー色の強い古楽に仕上がっています。この「楽しい」というのが最大のミソ。コンサートを見ると彼らが本当に古楽器や古楽が好きで好きでたまらないんだなぁ、というのがよくわかります。古楽に名盤多しと言えども、これほど暖かい手触りを持ち、演奏者の楽しげな顔が見えるような温もりある作品はめったにないでしょう。また、普通は敬遠されがちな民族楽器(と言っても中世にも使われていた楽器に限りますが)を多用するのも大きな特徴ですが、彼らにはあまり変なコダワリはないようです。
次々と入れ替わり立ち代り現れる個性豊かな古楽器たちの調べに誘われ、しばし現実を忘れて中世ヨーロッパの世界へ。。。
膨大なレパートリーの中からチョイスした20の曲はどれも魅力的。ごきげんノリノリな当時のダンス・チューンからしっとりしみじみのバラッドまで多彩な音楽世界が広がっています。B「エスタンピー」やLM「ブランル」、S「優しく美しい乙女」など、トラッド畑のアーティストが取り上げた曲も多いのでフォーク、トラッド・ファンにもすんなり受け入れられることでしょう。
爪弾くカヌーンと竹笛とのハーモニーも優しいA「ドゥクチア」からおとぼけショームが活躍するB「エスタンピー」への流れは面白いですね。
有名な「スザートの音楽帳」に残された魅力的な曲の中からのC「ショーム吹きの踊り」G「ロンド『なぜ』」は名演奏、名アンサンブル。
E「フォンタナ」は、ハイスピードのリコーダーと変幻自在の打楽器ドゥンベクとの白熱のバトルが楽しめる凄い曲です。このテンションの高さ、このドライヴ感!カッコい〜ったらもう!(><)
タイトル通りうららかな春の田園風景が目に浮かぶH「五月の日々」(口琴がはまってます)、伸びやかバグパイプと爽やかリコーダーとの共演I「ブルゴーニュのブランル」、クルムホルンの四重奏J「ディンディリン・ディンディリン」、なんとも可愛いらしいLM「ブランル」、どれも小曲ながら粒揃いであります。しっかし古楽の器楽曲ってどーしてこんなに短い曲ばかりなのだろう?旋律は魅力的なのに、惜しいなぁ。。。
その後にN「愛する人よ」、O「花より美しきものは」P「森の小鳥」としっとり系が続きます。Oのパンパイプの枯淡な味わい、Pの透明なボウド・プサルテリーの音色、どちらもうっとり。。。(*^_^*)
Q「アルマンド」はドイツの作曲家ヨハン・H・シャインが残した「音楽の饗宴」中の「3つの組曲」の「第3番」(フリッツ・ノイマイヤーの項でも触れています)の、さらに最終楽章に当たる曲。多くの古楽奏者が取り上げていますが、う〜ん、誰が演奏しても素晴らしい。。。カテリーナの演奏はまろみのある柔らかさが特徴でしょうか。しっかし、このシンプルながらあまりにも美しい旋律・・・こりゃもう反則ですよね?
余韻に浸っているところに突然ワイルドなサズ(トルコの三味線)がざくざくとリフを切り刻み、えらくパワフルでノリの良いR「ラ・マンフレディーナ」が!シャープで切れ味抜群のサズところころ転がる可憐なリコーダーとのミスマッチがイカしてます。ノリノリ〜っ!(^O^)
んでラストはマショーの名曲S「優しく美しい乙女」でしっとり優雅に幕を閉じるわけです。
彼らの音楽を聴くといつも感じるのですが、暖かくユーモラスな中にも滲み出るよなペーソスのようなものがあるのですね。実にヒューマンな音楽で、聴くたびに心がほんわか暖まるような感じがするのです。
あったか古楽はいかがですか?(^ ^)
(2002.1/8)
「宮崎駿の雑想ノート・X」(1996年、サントラ)

↑彼ららしい古楽器、民族楽器勢ぞろいジャケット。あなたはいくつわかりますか?

↑こりゃ宮崎駿ファンでもなければ買う気にはなれないでしょうね。しかし甘く見てはいけないのです。


↑使用楽器を写真入りで紹介したページが付いていてこりゃ便利。ちょっとしたビジュアル小事典ですね。1、4、10、11、14、17、20、21、22、23、などは古楽器というより普通は民族楽器に分類されるのでしょうが、中世では同じ感覚で扱われていたのだろうし、細かいことは気にしない!28は・・・なんだこりゃ?^^;

↑編成、使用楽器。相も変らず物凄い数の古楽器、民族楽器を自在に操っております。上の楽器一覧と併せてご覧ください。

↑曲目@。

↑曲目A。このアルバムもすべて器楽曲です。
★1995年から1996年にかけてニッポン放送で放送された宮崎駿製作の連続ラジオ・ドラマ「雑想ノート」。BGMはカテリーナが担当したのですが、それらをリミックスして1枚に収めたのがこのCD。ま、サントラということで(しかもラジオだ)敬遠したくなる気持ちもわかりますが、騙されたと思って一度お聴ききになることをオススメします。こりゃいいですよ!彼らの隠れた傑作で、実質上3rdアルバムと言ってもいいでしょう。
曲目をご覧になればわかるようにほとんどの曲がオリジナル(松本さん13曲、上野さん3曲、古楽曲4曲、即興3曲)。とは言え血液の中に古楽のメロディが流れている彼らのこと、どの曲も中世ヨーロッパの香り高いサウンドで、オリジナルとは思えないほど。メロディ、リズム、ハーモニー、楽器の選択、間の取り方、実にはまりきっています。単に古楽調というだけでなく現代の耳にもしっくり馴染むコンテンポラリー・サウンドに仕上がっていて、彼らの作曲面での才能が花開いた作品だと思います。
@「愚者の船」ではショーム(上図5)やクルムホルン(上図12)が大活躍。ユーモラスな中にもどこかペーソスを感じさせるこれらの楽器、実に人間臭くて親しみを感じさせます。ボッシュの絵から取られたというタイトルのイメージにぴったり。
B「逃げるが勝ち2」のとぼけた味のショームとワイルドに掻き鳴らされるサズ(上図2)との合奏もスリリングで面白い。
そしてD「卵の中の演奏」のダイナミックなアンサンブル!コンサートでもしばしばトリで演奏する曲で、わたしゃ大好きなのです。サントゥール(上図14)の硬質なサウンドと流麗なヴィオール(上図7)の音色との静かな掛け合いで始まり、ぶりゅりゅりゅ・・・とパンパイプ(上図11)の幽玄な音色が重なるところでいつも鳥肌。さらに転調してクルムホルンやらリコーダー(上図9)やらシンバル(上図27)やらが登場してどんどん盛り上がっていくこの曲、う〜ん、どえらくカッコ良い!なんかグリフォンみたいだ。。。凝ったアレンジといい派手な展開といいノリといい、この曲はアルバム中でもやや異色の古楽離れした曲ですね。ちと曲が短いのが唯一残念なところ。もっとたっぷり聴きたいなぁ。。。これに限らず、全体的に短すぎる曲が多いのが不満と言えば不満なのですが・・・よく考えれば古楽の器楽曲自体がそうですもんね。
E「逃げるが勝ち3」O「愚者の船2」ではプサルテリー(上図16)」の二重奏、なんて珍しいものも聴くことができます。美しや〜。。。
バスク地方伝統のテーパー・パイプ(上図20)が使用されたF「農夫の眼」はスパニッシュ・トラッドの色濃いサウンド。
G「ドゥクチア」は2ndでも取り上げていた曲ですが、こちらではバグパイプ(上図17)とリコーダーで演奏していて違った味わいになっています。
HIK「マルガレーテのダンス」はそれぞれ別ヴァージョン。Kはゲムスホルン(上図10)のソロですが、なんともいえぬ郷愁を感じさせるような淡く柔らかな音色で実に良いのです。
続くL「びあぼん」はタイトル通りジューズ・ハープ(上図24)の即興、M「間抜けなアルマンド」はラケット(上図6)のソロ。ともにおとぼけ楽器の代表格とも言えるユ〜〜〜モラスな音色で、子供が聞いたら大喜びしそうですね。
哀感溢れるN「冬」O「愚者の船2」で引き締めた後、お馴染みのP「ブランル」、そしてノスタルジックなQ「夕焼け行進曲」へ。昔懐かしチンドン屋のようなこのQ、にゃんともユーモアたっぷりながら妙にノスタルジックな曲で、まさにタイトル通りであります。
Sで使用されているトロンバマリーナ(上図15)は弦楽器のくせに倍音しか奏でないという奇妙な古楽器。形も奇妙なら音も奇妙なこのシロモノ、まったくアンサンブル向けではないために現在は絶滅同然で、こいつの音色を聞くチャンスは滅多にないでしょう。
22「オーン」はセルパン(上図1)のぼんぼんサウンドをバックにハーディガーディ(上図8)が文字通り「オ〜〜〜ン」と叫びつづける曲。
そして無常の調べ23「愚者の船3」でラストを迎えます。
・・・こうやって書いていると、古楽器&民族楽器の音の展覧会のようでもありますね。無論奇をてらっているわけでも単にずらずらと楽器を並べ立てたわけではありません。相応しい音のイメージを探していたら自然とこうなったのでしょう。おさまるべき所にしっくりおさまったサウンドを聴けば感覚的にわかります。
このアルバム、確かに宮崎駿の世界によく似合いますね。しかし宮崎駿ファンやカテリーナ・ファンだけが聴くというのもなんだかもったいない。古楽に興味がなくても、アコースティック・サウンドがお好きな方には特にツボにくると思うので機会があったらぜひ一度耳にして欲しいなーと思います。
※余談ですが、このアルバムはカテリーナのコンサート会場で購入したもの(ライヴ・レビューの時ではありません)。その時販売員の横にいた品の良い白髪のおっちゃんが「や〜、カテリーナはいいですよねー」とか何とか話しかけてきて、ちょっとお喋りしたのでした。「関係者かな?」とその時は思っていたのですが、後でよくよく考えると・・・宮崎駿その人、だったような・・・?^^;
(2002.1/8))