●1997年に結成された新進気鋭のスウェーディッシュ・トラッド・バンド。ラーナ(rana)は、美しい壁掛け(タペストリー)、リム(rim)は朝もやの露の意。男女4人編成、ツイン女性ヴォーカル、爽やかなサウンド、などの共通点から音楽雑誌などでは同じスウェーデンのポップ・グループABBAに比せられ「フォーク界のABBA」と呼ばれている。
Ulrika Boden/ウリカ・ボデーン(ヴォーカル)は北方のオンゲルマンランド出身。ラーナリムと並行してセルタ、カラブラというグループにも参加、またオンゲルマンランドのトラッドのみを歌ったソロ・アルバムも発表している。
Sofia Sanden /ソフィア・サンデン(ヴォーカル)は中部のダラカールリア(コッパーベルイ)出身。彼女もラーナリムの活動と並行してKurbitsというグループに参加している。
Niklas Roswall/ニクラス・ロースヴァル(ニッケルハルパ)は南部、スカンディナヴィア半島南端のスコーネ地方出身。ニッケルハルパの世界チャンピオンのタイトルを持ち、ニッケルハルパのみによるバンド、ニッケルハルプスオルケステルンでも活躍中。
そしてJens Engelbrecht /イエンス・エンゲルブレヒット(ギター、マンドラ)は首都ストックホルム出身。
このように4人はそれぞれスウェーデンの異なる地域出身であり各出身地方の伝統音楽をバックボーンにしているため、スウェーデン各地の伝統音楽の要素を取り入れる事に成功。さらに伝統音楽に加え中世音楽やポップスの要素も柔軟に取り入れ、コンテンポラリー色の強いサウンドを作り上げている。
2001年には2回アメリカでライヴを行い、2002年2月には初めての来日ライヴも果たした。
なお現在では、ranarimの編成にベース、ドラムを加えた6人編成のranarim+というユニットでも活動をしているようだ。
(2002.3/6)
| Discography(正規アルバム) ※発売年、タイトル、レーベル |
2001 "till ljusan dag" Drone Music
| 関連公式HP |
・ranarim
ラーナリムの公式サイト(スウェーデン語、英語のみ)。ranarimとranarim+の紹介、スケジュール、レビュー、CDの通信販売など。ライヴ映像を見ることもできる。
"till ljusan dag"/「太陽が昇るまで」(2001年、1st)

↑メンバーは左からイエンス、ソフィア、ウリカ、ニクラスの4人。ちなみにアメリカ盤では"Till the Light of day"というタイトルでジャケ違いになっています。

↑このCDはエンハンストCDなので最後の1曲だけライヴ映像が見られます。

↑曲目、編成、使用楽器。タイトルだけ読んでも想像が広がりますね。全曲トラッドです。
★先日初来日を果たしたラーナリムの、これがデビュー作。CDをかけたとたんに溢れ出してくる美しいサウンド、爽やかな空気。心のすみずみまで清涼感で満たされる素晴らしい音楽です。
演ってる曲は全てスウェーデン各地に伝えられてきたバラッド中心の民謡のはず、なんですが洗練されたアレンジとロック/ポップス世代の感性によって、まったくといって良いくらい「土の匂い」を感じさせず。トラッドを素材にしたアコースティック・ポップスと言いたくなるくらいであります。
最大の売りは力強い低音のソフィアと優しい高音のウリカによるツイン美声ヴォーカルでしょう。トラッド版ABBAかはたまたスウェーデン版メロウ・キャンドルか〜、てなくらいの美しいハーモニーはまさに絶品。ライヴでつくづく思いましたが、ただ綺麗なだけじゃなく巧い。この若さにして、二人とも相当な実力を持っているのですね。おそらく伝統音楽畑で大量のレパートリーを歌いこんできたのでしょう。声の伸び、声量、音程、多彩な歌唱法、そういった技術面は文句無しだし、なによりも姉妹のようにぴったり息があっている。見事です。
この二人のヴォーカルだけでも十分に魅力的なのですが、加えてニクラス演奏するニッケルハルパ(スウェーデンの伝統楽器。鍵盤付きフィドル、またはハンドル無しのハーディ・ガーディ?)の魅力も大きい。フィドルの音に近いんですが、もっと引っかかりの多いというか、かなり印象的な音色。ハーディ・ガーディと同じくドローン音が特徴ということもあり、中世的な味わいがあります。
さらにイエンスの弾くグルーヴ感溢れるギター&マンドラの存在。彼一人がバンドのリズムを一手に引き受けているわけですが、ラーナリム・サウンドの持つロック感覚、コンテンポラリー感覚を根底で支えているのが彼でしょう。リフの刻み方やアクセントの入れ方など、とにかくキレが良い。アイルランドのルナサやフルックのあのドライヴ感に近いものがあります。国は違えど、同じ世代のアーティストが持つ共通の音楽感覚、なのでしょうか。
ちなみにA「誇り高きイングリッド」で聴かれるパーカッションのような音は彼がギターをぶっ叩いている音であります。ライヴでもいきなり弦を二本ぶち切ってしまい、そのパワフルぶりを見せてくれました。^^;
さて、どの曲取っても極上のこのアルバム、全曲解説したいところですが煩雑になるので1曲だけ。
東京公演でも1発目に演奏したNが文句無しの彼らの代表曲でしょう。たおやかなニッケルハルパをバックにソフィア&ウリカの美しいハーモニーが流れだし、イエンスのギターが軽やかなアルペジオを奏でる。静かな立ちあがりから一転ギターがリズムを激しく刻み、4人のアンサンブルが一体となる場面での昂揚感は言い難いものがあります。上記画像のオビの文句に「辺りをオレンジ色に変えてしまう」という言葉がありますが、朝日が一気に差しこむような眩しさを感じさせる曲ですね。
この曲のライヴ映像は彼らのHPで見ることができますので興味を惹かれた方はぜひどんぞ♪
(2002.3/6)
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