The Kinks/ザ・キンクス Britain

●1963年、ロンドンのマスウェル・ヒル出身Raymond Davies/レイ・デイヴィス(ヴォーカル、ギター)とDavid Davies/デイヴ・デイヴィス(ギター)の兄弟は、同級生だったPeter Quaife(ベース)およびメンバー募集で仲間に加わったMickey Willet(ドラム)らとRavensというバンドを結成。このデモ・テープが当時Pye Recordsを立ち上げようとしていたプロデューサーShel Talmyに気に入られ、翌64年にはPyeと契約、The Kinksと改名した彼らはシングル「ロング・トール・サリー」でデビューする。なお、この時点でドラマーはMick Avoryに代わっている。

3枚目のシングル「ユー・リアリー・ガット・ミー」が全英1位のスマッシュ・ヒットとなり以後ヒット・シングルを連発、その名を知らしめた。またリーダーのレイ・デイヴィスの才能はシングルヒットのみにとどまらず、60年代後半にはコンセプト志向の大作アルバムを製作。"The Village Green Preservation Society"(68年)、"Arthur or the Decline and Fall of the British Empire(アーサーもしくは大英帝国の衰退並びに滅亡)"(69年)、"Part One, Lola versus Powerman and the Moneygoround(ローラ対パワーマン、マネーゴーランド組第1回戦)"(70年)のいわゆる「ロック・オペラ三部作」は各方面で絶賛された。
64年のデビューから71年"Percy"まで10枚のアルバムを残したPye Records在籍時は、通称「パイ時代」と呼ばれる。なお、69年にPeter Quaifeに代わってJohn Dalton(ベース)が加入、翌70年にはJohn Gosling(キーボード)が加わり5人編成となっている。

71年に大手レーベル・RCAに移籍した彼らはよりアーティスティックな傾向を強め、"Muswell Hillbillies"(71年)を代表とする傑作を発表し、高い評価を得たもののセールス的には低迷してしまう。「RCA時代」と呼ばれるこの時期に、キンクスは6枚のアルバムを残した。

77年にはアメリカのレーベルAristaと契約、パンク全盛の時代もあってか原点に戻ったかのようなシンプルかつパワフルな作品を次々と発表、ヒットを連発する。この時期には7枚のアルバムを残した(アリスタ時代)。
79年にはJohn Daltonに代わってJim Rodford(ベース)、John Goslingに代わって Ian Gibbons(キーボード)が新しく加入している。

86年に今度は地元ロンドンのLondon Recordsに移籍、3枚のアルバムを発表。Bob HenritがMick Avoryの代わりのドラマーとして正式加入する。

91年にはSony Musicと契約して2枚のアルバムを製作、最後の"To the Bone"(94年)以来新作は発表していないが現在でも活動中である。
(2001.11/6)

Discography(正規アルバム) ※発売年、タイトル、レーベル

1964 "Kinks"
1965 "Kinda Kinks" Castle
1965 "The Kink Kontroversy" Castle
1966 "Face to Face" Castle
1967 "Something Else by the Kinks" Castle
1968 "Live at Kelvin Hall" Castle
1968 "The Village Green Preservation Society" Castle
1969 "Arthur or the Decline and Fall of the..." Castle
1970 "Lola vs. the Powerman & the Money-Go-Round,..." Castle
1971 "Percy[Original Soundtrack]" Castle

1971 "Muswell Hillbillies" Velvel
1972 "Everybody's in Show-Biz" Velvel
1973 "Preservation: Act 1" Velvel
1974 "Preservation: Act 2" Velvel
1975 "The Kinks Present a Soap Opera" Velvel
1975 "The Kinks Present Schoolboys in Disgrace" Velvel
1977 "Sleepwalker" Velvel
1978 "Misfits" Velvel
1979 "Low Budget" Velvel
1980 "One for the Road" Velvel

1981 "Give the People What They Want" Velvel
1983 "State of Confusion" Velvel
1984 "Word of Mouth" Velvel
1986 "Think Visual" MCA
1988 "Road" London
1994 "To the Born"

Discography2(コンピレーション、BOX、未発表音源、リテイクなど)※発売年、タイトル、レーベル

1964 "Kinks" Castle
1965 "Kinks-Size [Reprise]" Reprise
1965 "Kinkdom" Rhino
1965 "Kinks-Size [Rhino]" Rhino
1966 "The Kinks' Greatest Hits" Reprise
1966 "Dedicated Kinks" Pye
1966 "The Kinks [Comp]" Golden Guinea
1967 "Sunny Afternoon Marble" Arch
1971 "Golden Hour" Pye
1972 "The Kink Kronikles" Reprise

1973 "All the Good Times" Pye
1973 "Golden Hour, Vol. 2" Pye
1973 "The Great Lost Kinks Album" Reprise
1974 "The History of British Pop Music" Pye
1976 "The Kinks' Greatest: Celluloid Heroes" RCA


"The Kinks Present a Soap Opera"/「ソープ・オペラ(石鹸歌劇)〜連続メロドラマ"虹いろの夢"」(1975年、15th)
悲喜こもごも、「人生」という名の一幕の歌劇。。。

 

↑「ソープ・オペラ」ってどういう意味?という方は「雑学の泉」38をご覧ください。

↑曲目。G〜H〜Iの見事な流れはキンクスならでは。

 

・編成、使用楽器・・・Ray Davies(ギター、ヴォーカル)、Dave Davies(ギター)、John Dalton(ベース)、John Gosling(キーボード)、Mick Avory(ドラム)、他。

★RCA時代の15作目(75年発表)。74年にレイ・デイヴィス自らが主演したドラマ「スターメイカー」で使われた曲に、新曲を3曲加えて発表された異色のアルバム。平凡なサラリーマンのノーマンがスター願望にとりつかれ、妄想が膨らんだあまり自分がスターなのか平凡な小市民なのかわからなくなっていく様子をユーモラスに描いたドラマ、と解説にあります。見てみたいなぁ。
数ある傑作群の中に隠れてやや印象の薄い感がありますが、私はこれが大好きでねぇ。バラエティに富んだ曲はどれも良い曲だし、アルバム全体がドラマ仕立てになっていて歌詞を読むだけでも面白い。レイさん独特の、物事をナナメに切り取るようなシニカルな視点と妙〜なユーモア感覚が切れまくってます。
なんつってもHの"You Make It All Worthwhile"/「すべて君のため」!実にヒューマンな曲で、聴き終わるたびに胸があったか〜くなるのです。

ノーマンはは前曲G「ホリデイ・ロマンス」で異国での一夜の恋を楽しみ・・・そこねちゃうんですが、自宅に戻った彼を何も知らない妻のアンドレア(テレビ同様、女優のJune Ritchieが好演)が優しく出迎えるところからこの曲ははじまります。
毎日のルーチン・ワークで心ぼろぼろになってしまったノーマン。スター妄想のために自我が分裂してしまったノーマン。彼は
「君のもとにお金を持ってくるために 腰を痛めて、汗にまみれて、奴隷のようにこき使われて・・・こんなにもうんざりする仕事ってあるだろうか」と絶望的に歌います。
しかし妻の振る舞いや何気ない会話を通じて彼は、自分の病んだ精神を癒してくれるのは妻の存在そのものなのだと悟るのです。素晴らしくメロディアスなサビで、彼はこう歌いあげます。
「でもね、家に帰れば君がいて すべてのものを価値あるものにしてくれる 僕に笑いを、微笑みを取り戻させてくれる・・・」
曲半ば、妻が些細なことから泣き出してしまい(サスペンス風に演奏が急転するのが面白い)ノーマンが寛大に慰めるところがあります。ここ、良い場面ですね。日常の中のささやかな(でも当人達にとっては重大な)いさかいと和解、なんかジ〜ンときますです。
そして最後の、いさかいも誤解も憂いも辛さも何もかもを押し流してしまうような涙が出るほど美しいサビの合唱!感動のフィナーレであります。(ノ_・、) なぜかここで、名画「蒲田行進曲」のラストの大団円が思い浮かんでしまふ私。。。

結婚願望のない私でも、この曲を聴くと「夫婦ってよいなぁ〜」としみじみ思っちゃうのですね。そんな曲です。

しっかし、これでハッピー・エンドじゃなくて、すぐにお馬鹿ソングI"Ducks on the Wall"/「アヒルの壁掛け」に突入してしまうところが、一筋縄では行かないレイさんらしい。。。(^_^;)
(2001.11/6)

 

☆鉄の目さん持ってるの紙ジャケですね。通常リマスター盤にはボーナストラック入ってます(某マダムにレイ氏が送ったというバースディカードの写真も)。それには「すべて君のため」の素晴らしい(でも笑える)ライヴヴァージョン入ってますんで。あたしはやっぱ「ロックよ永遠なれ」が好きだなぁ。
(2001.11/7 byノーザン野郎さん)