ツィンバロム(Cymbalum)
●ハンマー・ダルシマーや揚琴と並んで現在でも現役で活躍中の、数少ないスティック使用の打弦楽器。
この3つの楽器はいずれもサントゥールという同じ祖形楽器から発達した同族楽器である。
古代ペルシャで生まれた打弦楽器サントゥールは、8世紀以降隆盛になったイスラム圏で発展し、大きく三つのルートを通って東西に広まっていく。
一つは東方ルートで、この道を通ったサントゥールは中国で揚琴になり、次いで中国の影響下の国々(朝鮮、ベトナム、モンゴルなど)にも広まった。日本にも江戸時代に渡来したがなぜか受け入れられずに廃れている。
一つはイベリア半島経由のルート。12〜14世紀に当時イスラム圏だったイベリア半島(現在のスペイン、ポルトガル)を通って西ヨーロッパに持ち込まれ、これがハンマー・ダルシマー系の楽器になった。
そしてもう一つのルートとして小アジア(現在のトルコ地域)経由からバルカン地方〜東欧へという道があった。こちらのルートを通って東欧に浸透したのがツィンバロン系の楽器。
揚琴は中国をはじめとする東アジア、東南アジアの国々で、ハンマー・ダルシマーはイギリスやアイルランドなど西欧の一部で、そしてツィンバロムはハンガリー、ルーマニア、スロヴァキアなど東欧の一部で、現在でも使われている。

↑スモール・ツィンバロム。このおぢさんは、ルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバーです。

↑こちらはラージ・ツィンバロム。ハンガリーのロビー・ラカトシュ・バンドのメンバー。
★タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのライヴ(レビューはこちら)で生で聴いてから大好きになった楽器です。(^
^) 上の画像はポータブルタイプのスモール・ツィンバロム、下の画像は据え置き型のラージ・ツィンバロム。後者のほうが一般的で、普通はツィンバロムといえばこちらを指します。
ロマ(ジプシー)独自の楽器と思われがちですが、そうではありません。彼らが愛用しているからそのイメージが強いのでしょう。
ピアノと同じ打弦楽器なので、構造もよく似ています。木製の丈夫な枠に調律されたたくさんの弦をしっかり張って、それをスティックで叩く。見た目は木琴を演奏しているような、あるいは猫じゃらしで遊んでいるような^^;、ちょっとユーモラスな感じなのですが、こりゃものすごく繊細で神経をすり減らす楽器でしょうね。グランドピアノの蓋を開けて中の数十本の弦の群を正確に叩き分けることをご想像ください。
この楽器、二本のスティックで演奏するために和音が奏でられないのが欠点の一つなのですが(だから西欧では廃れてしまったのでしょうか)、減衰音が長いためにそれに近いハーモニーは得られます。
その音は実にきらびやかで、何と言うか「輝かしい」音なのですね。ピアノとも琴ともハープともチェンバロとも違う、打弦楽器独特の硬質で美しい音色。う〜ん、ええわぁ。。。
(2001.11/1)