プサルテリー(Psaltery)

●アラブ圏で発達し、十字軍を通じてヨーロッパに浸透した箱琴の撥弦楽器。平べったい箱型の弦楽器は、ヨーロッパのプサルテリー、チター、北欧のカンテレ、アラビアのカヌーンなど各地に見られるが、いずれも同一の祖形楽器から分かれて独自の発達をしたものと考えられている。
後にこの楽器に鍵盤機構を付けたハープシコードが誕生し、その隆盛に押されて15世紀以降はほぼ姿を消してしまった。

中世ヨーロッパではプサルテリーとダルシマー(ハンマー・ダルシマー)とは同一の楽器で、ただ弦を「掻き鳴らすか(プサルテリー)」あるいは「叩くか(ダルシマー)」という演奏法の違いしかなかった。発祥の地とされるアジア中央部では両者は異なる楽器だったが、ヨーロッパで普及するにつれ同一の楽器になってしまったらしい。
また、プサルテリーを弓で弾いたものがボウド・プサルテリーと呼ばれたが、これも演奏法が違うだけの同一楽器。
この時代は楽器の分類がまだ曖昧で、同じ弦楽器を「こするか」「叩くか」「はじくか」で異なる名称を与えたことがよくあったが、この楽器はその典型である。

演奏法も音も非常に繊細。指や鳥の羽を使って静かに奏でるのだが、独特の神秘的な音がする。三角形、四角形など様々な形があったが、「豚の鼻形」のものが最も一般的だった。


↑最も一般的な「豚の鼻形」プサルテリー。

↑演奏しているところ。いかにも繊細であります。

 

★この楽器を演奏しているところを見ると、音楽を奏でているというよりも、一心不乱に小説か何かを原稿用紙に書きこんでいるように見えてしまいます。^^; 
音が小さいのが最大の欠点で、アンサンブルには不向きですがうっとりするような素晴らしい音色。ハープシコードのご先祖様なのですが、あれよりも一層柔らかで可憐な音であります。現在では滅多にお目にかかれないこの楽器、博物館にしまいこむには惜しいサウンドなんだけどなぁ。。。
プサルテリーもボウド・プサルテリーも、ともにカテリーナ古楽合奏団のコンサート(ライヴ・レビューはこちら)ではじめて出会った楽器です。
(2001.11/1)