「ショボ犬物語@卵でぽやん」
(語り部・鉄の目キリコ)


さて「ぽやんの泉」第1話。今回は、今はお星様になってしまった我が家の飼い犬「ロン」(♀)の思い出をつれづれと語ることにいたしましょう。

ダンボールに入れられて川をどんぶらこっこと流されていたところを私の兄に拾われてきた見るからに雑種なこの犬、生い立ちもショボけりゃ容姿もショボく、幼い頃は「可愛い可愛い」と人気があったものの長ずるにつれてどんどんみすぼらしい外見になっていき、散歩に連れて行けば女子高生たちに気味悪がられるわ近所のガキにマジックで眉毛(八の字)を書かれるわ、それを見た飼い主家族(つまり私らだ)に大爆笑されるわ、と存在自体が脱力な犬でありました。^^;
おまけに記憶力が異常に悪く、たびたび訪れる親戚のおばちゃんなどは「来るたび来るたび狂ったように吼えまくりやがって、いつになったら覚えるんだこの馬鹿犬〜!(>_<")」といたくご立腹。
どーかすると私が帰ってきたときも狂ったように吼えまくるのですね。「このアホ犬〜」と思いながら近づいていくと3、4mくらいになってよ〜やくはっと気がつき、「ジョーダン、ジョーダンだってばよ〜ん♪」とばかりにころっと態度を変えて尻尾を振って甘えてくるような(遅いっちゅーの)、先天的だめだめドッグでありました。(^-^;)

しかし何のとりえも無かったこの犬にも、一つだけ芸らしきものがあったのですね。それは「卵割り」。
生卵が大好きなこの犬、どこで覚えたのが生卵をころ〜んと目の前においてやると、前足でそれを踏みつけて自分で割って食べるのです。っつっても犬の前足はご存知の通り肉球と爪が付いただけの見るからにブキッチョなものなんで、なかなかうまくいかない。「よっこらせ」と踏みつけてはツルッと滑る、また「よっこらせ」でツルッ、「よっこらせ」ツルッ・・・見ているほうがいらいらするくらい失敗こきながらも不屈の精神で続けるうちに、「よっこらせ」パキッ!と乾いた音がして見事に殻が割れ、美味しい中身にありつけるわけです。
「歯で噛み割ればい〜じゃん」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、犬の口というのは卵を噛み割るには不向きな作りなので、大型犬ならいざ知らず、ロンのような普通の中型犬ではどーにもうまくいかんのです。そこで編み出したのがこの妙な技。「必要は発明の母」という言葉は犬にも当てはまるのですな。
「飼い主が割ってあげればい〜んじゃない?」というのは、まぁ、また別の話ということで。。。^^;

んで、親戚の子供たちにこの技を披露したときのこと、皆「わ〜、自分で卵割れるなんてスゴイネ、賢いネ〜」と目を丸くして驚いてくれて私も上機嫌だったのですが、一人がこんなことを言い出したのです。「ね、ゆで卵だとどーなるの?」
私は「もっちろんゆで卵だろうと思いのままさ〜」と答えつつも内心不安だったのですが、折悪しく冷蔵庫に入っていたゆで卵を子供の一人が持ってきまして、試すことになったのです。
・・・いつもの卵だと思って張り切って「よっこらせ、ツルッ」を繰り返すロン。何回目かの「よっこらせ」で「パキッ」と乾いた音がして「やで嬉しや♪」と尻尾ふりふり流れ出る中身を舐めとろうとするのですが、当然何もでてこない。首を傾げてまた「よっこらせ」でパキッ。「やで嬉しや♪」んでも何も出てこない。またまた首を傾げて「よっこらせ」パキッ、「やで嬉しや♪」ハイ残念・・・ず〜〜〜っとこれの繰り返し・・・。

子供たちも飽きてしまい「やっぱダメじゃん」と冷たい言葉を残してどっか行っちゃって、残されたロンはそれでもただ黙々と、もう「パキッ」という音すらでないクチャクチャにひび割れた卵を相手に「よっこらせ」を繰り返し、私は煙草を吸いながら「やでやで・・・」とその間抜けな光景をずっと眺めていたのでありました。。。
(2001/11/1)

 

 

 

 


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