「おばばの悟り」
(語り部・鉄の目キリコ)
あれは私がまだイタイケな少年だった頃・・・当時の私はご多分に洩れず昆虫大好き少年でありました。その頃は実家の回りは森や林だらけで、夏になるたびカブトムシやクワガタ捕りに夢中になっておりました。
ある夏の日のこと。当時まだ存命中だった祖母が台所で働いていたんですが、突然「おっ!」と叫んだのですね。そしてなにやらばしばしと床を叩く音が・・・不審に思った私が「ば〜ちゃん、どしたん?」と訊くと、祖母は「やー、でっけえゴキブリがいてよう、でも叩き潰してやったから」。「へー、そんなに大きかったの?」「おー、でかかったぞ、今見してやるよう」そして祖母はチリ紙に包んだゴキブリの死骸を見せてくれたのです、が・・・
「ば、ば〜ちゃん!これミヤマクワガタだよ〜〜〜〜うっ!!」「ミヤマク・・・あんだって?」「クワガタだようっ!それもこんなに立派な角を持ったのなんて滅多にいないのに・・・なんてことするんだよう〜〜〜っ!!(><)」
怒る私を見て祖母はちょっとたじろいだようでしたが、やがて首を振り振りこう言ったものでした。
「茶色いムシは、みーんなゴキブリじゃ」
(2001.12/1)