世にも不思議な物語〜古都バガンC〜(ミャンマー)


※「都市の骨〜古都バガンB〜」の続きです。

Rさん「どう話したらいいか・・・。私ね、小さい時によく見ていた夢があるの。外国の夢。そこは赤い土の国で、赤い河が流れてるのね。私の故郷の釜山とは全然違う・・・とてもヘンな国」
私「・・・?小さい頃どっか外国に住んでたの?」
「ううん。大人になるまで韓国から出ることなかったのよ。だから、ヘンだな〜って思ってた。夢に出てくる人達も色の黒い外国人ばかりだし服装もヘンだし。でも、小さい時はよく見たけど大人になってからはあまりその夢を見ることはなくなって・・・今日までほとんど忘れてた」
「ふーん・・・」
「昨日馬車に乗せてくれた御者の男の人いるでしょ?今日はあの人の馬車を1日借り切ってこの辺りを案内してもらったのよ。色々面白かったけど、最後にオールド・バガンに行ったの・・・」
「あそこはヘンな所だよなぁ〜」
「・・・そう。ヘンな所。ヘンな国。。。あそこの風景を見た時、私すぐに思い出したのよ。『あ、ここ、あの夢で見た場所だっ!』って。なんというか・・・感じたの。すぐにわかったの」
「・・・・・・」
「思い出したのよ。私は、私が生まれるずっと前にここに住んでいたんだって。。。」
「・・・。Rさん・・・なんか変な物食べた?」
「ちょっと!本当の話なのよ。・・・馬車から降りて歩いていたら懐かしさで一杯になった・・・パゴダが建ち並んだこの風景も、赤い土も石の道も、向こうに見える赤い河や森の形も、夢で見たのとそっくり・・・。ただ、夢ではこんな荒れ果てたゴースト・タウンじゃなくて、道もパゴダもずっと綺麗だったし緑ももっと豊かだった・・・人もたくさんいた・・・」
「人がたくさんいたって?」
「それからまた馬車で移動して、ある大きなパゴダを訪れたの。もちろん初めてなんだけど、そこのことはよく知っていた。夢によく出てきた建物だったから。門を入ってすぐ右手に階段がある、そう思って門を入っていったら・・・その通り階段があった。階段を登って屋上に出ると夢でよく見た風景が広がっているはず・・・そう思って屋上に登っていくとその通りの風景が目の前にあった。私はよくそこに一人で行って同じ風景を眺めていたのよ。夢の中で」
「・・・・・・」
「その風景を眺めていたらね、なんだかすごく泣けてきちゃって・・・ず〜〜〜っと一人でぼろぼろぼろぼろ泣いていたの・・・涙が止まらなくて。。。」


Rさん「どう、信じられないでしょこんな話?」
私「う〜ん、前世っていうのか?不思議な話だけどそーいうこともあるのかもしれないなぁ。俺自身はまったく経験ないけど」
「忘れてるだけなのよ、きっと。私みたいにきっかけがあれば思い出すのかも」
「おら忘れっぽいからなぁ。。。それにしても不思議な話だ。ところで、夢に出てきた人達はやっぱり皆ロンジーを着てたんだろうね?」
「それが違うのよ。形も少し違うし、色が全然違う。ほら、ロンジーって深緑色でしょう?夢に出てきた人は明るいオレンジ色っぽい服だったから。でね、面白いんだけど、パゴダの中に壁画があるじゃない?」
「ああ、あれね。俺が見たのはボロボロでよくわからんかったけど」
「私が見たやつは割と綺麗に残ってた。その壁画に描かれている人々の服装が、夢に出てきた人達の服と同じなの!色もそっくりで!」
「・・・・・・。そーいや、夢の中のバガンは人がたくさんいたって言ってたっけ。今よりもっと綺麗で、緑も多かったって」
「うん。あんな寂しい所じゃなくて、もっと賑やかな所だった」
「・・・パガン王朝が最も栄えたのは11世紀半ばのアノヤター王の頃で、その後13世紀終わりにモンゴル軍に征服されて没落しちゃったんだっけね。例のフビライにやられて」
「オー、詳しいねダイスケ〜。歴史学者みたい!」
「・・・ガイドブックからの受け売りです」
「あ、やっぱり」
「・・・。ともあれ話を総合すると、Rさんの前世はまだ栄えていた当時のパガン王国の住民だった、と。それも一人ぼんやり景色を眺めるヒマがあるわけだから相当裕福な家の娘さんだ。ひょっとしたらどっかのお姫さんかも?」
「・・・かもしれない。なんか召使みたいのがいたし」
「うぬ、ブルジョワめ〜っ!(>_<) そうか、Rさんがワガママなのは前世でちやほやされすぎたからに違いない!」
「誰がワガママよ! それじゃダイスケが野蛮なのは前世が野蛮人だったからね。ひょっとして人間じゃなくて動物だったのかも?(^.^)」
「あ、それで前世の記憶がないのか?うう〜〜〜む。。。(-_-;)」


Rさん「ここは不思議な国ね。最初は好きになれなかったけど、今じゃもっと早くここに来ていれば良かったって思うよ」
私「うん。俺も今回まわった国の中でここが1番好きだ。1週間じゃ短すぎたね。バンコクに長居し過ぎたなー、オカマバーなんていかなきゃ良かったんだ」
「自分だって喜んでたくせに!」
「う、いや、喜んじゃいないが・・・まぁ、なかなか楽しかったけど・・・」
「わたし、またミャンマーに来るよ。今度はもっとゆっくりと滞在したい。この国の人も大好きだし」
「うん」
「・・・そしてこのバガンにまた来る。過去のことも今のことも、知りたいことはたくさんあるから・・・」
「うん。。。」

(2002.5/23)

↓かつては壮麗だったのであろう大パゴダ。近くで見るとボロボロであります。ちなみにこれはRさんの話に出てきたパゴダではありません。



 

 

 

 

 


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